第225話 話し合い

「みんなに聞きたい、タケフミくんの帰還に異議がある人はいるかい?」

俺はタケフミ以外の日本人を集めて会議を開く。

するとマイがカエデに土下座をした。

「カエデ、お兄ちゃんが本当にごめんなさい。」

「マ、マイ、頭を上げて、マイのせいじゃないのはわかっているから。」

「それでも、取り返しのつかない事になるところだったから。」


「ううん、マイのせいじゃないよ。

でも、タケフミさんは許したくありません。

ヨシノブさん、彼を日本に帰してもらえませんか?」

「いいのかい?日本に帰れるのはご褒美にならないか?」

「今、帰っても苦労するだけだと思いますし、それにあの人をこちらに置いても害しか無いと思いますから。」

「カエデちゃんがいいなら俺に異存は無いよ。他の人はどうかな?」

全員、顔を見合わせ、承諾するが・・・


「贅沢を言ってはいけないのはわかっているのですが・・・一緒に帰る私は気が重いです。」

ユカリだけ嫌そうな顔をしていた。

「ユカリ、ごめん。嫌だったよね。」

「イヤですけど、でも、日本に帰りたいので。みんなもいいの?帰れる機会が無いかもしれないのよ?」

「みんな話し合っているから、それにヨシノブさんのおかげで私達はこの世界でも生きていけてるから。」

「私も最初に会いたかったな・・・」

「ユカリも大変だったんだよね。」

マイ、カエデ、ミキはユカリを慰めていた。


「うむ、帰国する者が決まったのか?」

俺達の目の前に夢で見た天照大神がいきなり現れる。


「アマテラスさま!」

俺が膝をつくと、みんなも俺に合わせて膝をつく。

「よい、愛しき我が子達よ、この地の者達のせいで苦労をかけておる。」

「いえ、アマテラス様のおかげで二人の帰還が果たせるのは光栄にございます。」


「すまぬのぅ、本来なら全員帰してやりたいのだが、ワシの権限が足りぬせいで・・・」

「そのような事は・・・あっ、アマテラス様にお知らせしたき事が。」

「ヨシノブよ、どうかしたのか?」

「はい、最近の事になるのですが、桐谷アキラ氏がこの地に召喚されました。」


「・・・この地の者達は馬鹿しかおらぬのか?」

「アマテラス様は知っておられるのですか?」

「以前に召喚に巻き込まれた者であろう。

あの時は苦労したのだ・・・」


「一体何があったのですか?」


「うむ、勇者イゾウに巻き込まれて、この世界に渡ったが、当時その世界にあった神剣を奪い、イゾウに連れられ神界に殴り込み、当時その世界の管理者、従者合わせてが26名殺され、我等三貴神が説得にあたり何とか帰還させれたのだが・・・」


「あの人はそれほどまで?」


「どこで間違えたのか、人の枠を逸脱しておる。」


「では、アキラさんなら神と交渉も出来ると?」


「出来るであろう、問題はどうやって神界に行くかだけだな。」


「では、こちらの神の許可があれば他の日本人の帰還もできるのですか?」

「可能だな、そちらの主神アーアの権限があればヨシノブ以外の者も我の力で帰れる。」

「それはよかった。」

「お主を帰してやれぬのがすまないと思っておる。」

「いえ、私はこの世界で大事な者を見つけましたので、こちらに居ても問題ありません。」

「すまない・・・」


「さて、話を変えましょう、まずは二人の帰還ですが・・・」

「わかった、二人を連れて来るがよい、今すぐに帰還させようではないか。」

「まだ、3ヶ月たっておりませんができるのですか?」

「アキラを呼んだせいで境界が緩んでおる、今なら私の力で連れていける。」

「わかりました、すぐに連れてきます。

誰がタケフミくんを連れてきてくれ。」

「はっ!」

俺は兵士にタケフミくんを連れてきてもらうのだった。

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