第219話 タケフミ、理解する?

俺がツバサに止めをさした頃、氷の世界では・・・

「タケフミ、いい加減にしろよ!」

ショウがタケフミを叱る。


みんなに相手にされずふてくされたタケフミは暴飲暴食をしていた。

「関係ないだろ!飯ぐらい好きに喰わせろ!」

「いやいや、余裕があるとはいえ、何が起きるかわからない世界にいるんだから暴飲暴食は止めろよ。

それにお前、太っているぞ・・・」

先日まで肉体労働者としてガッシリした身体だったのが、太って見る影も無くなってきていた。


「少しぐらい太ったってすぐに痩せれるさ。」

「いや、せめて健康には気をつかえよ。」

「うるさい!どうせ俺はお前と違ってヤル相手もいないんだからな。

こんな氷の世界で楽しみなんか食べるしかないじゃないか?

それとも、誰か相手を準備してくれるのか?」

「出来るわけないだろ!」

「なら黙ってろよ。どうせヨシノブが来たら補充されるのだろ?

俺一人大量に食べた所で何も変わらないさ。」

ショウは呆れるが、もう会話するのもめんどくさくなってきていた。


「わかった、多めに食事は用意する、だけどそれ以上は喰うな!」

「へいへーい、わかってますよ。」

全然わかってない答えにショウは頭が痛くなる。

「ショウ、止めとこ相手をしても疲れるだけよ。」

「ミキ・・・」

「おうおう、暑いことで!独身者に見せびらかすのですかぁ~!」

「タケフミ!」

「いいから、いこ!こんな人さっさと日本に送りつけたらいいんだから!」

「何だよその言い方は!先に帰れるのを妬んでいるのか!」


「そんな筈がないでしょ!今帰ったらどうなるかわからないの?」


「えっ?」

「珍獣扱いされるに決まっているじゃない!

そもそも、その見た目でマトモな人生おくれると思っているの!」

「ミキ、言い過ぎだ!」

「だって!」

「いいから。」

ショウはミキをなだめる。


「な、なぁ、ショウ、今の話って・・・」

「タケフミ、気にするな、帰ったら、みんな、そんな扱いを受けるだろうなぁ、っていう仮定の話だよ。」

「でも、珍獣なんて・・・」

「仕方ないだろ?異世界に行った人間なんていないんだからな。」


「俺はどうなる?」

「仮定でいいなら・・・」

「教えてくれ!」


「まずは健康診断されるだろう、場合によっては隔離されると思う。」

「それにマスコミも面白がってくるよね。」

ミキも話に加わる。

「特にタケフミは急に老け・・・年をとったから研究もされるかもしれない。」

「俺は研究材料じゃない!」

「俺達に言わないでくれ、それになるかも知れないって話だよ。」


「ユカリさんはどうするんだよ?俺と同じだろ?」

「・・・うん。」

「歯切れが悪いな、ショウ同じ何だよな!」


「違うわよ、ユカリはカエデのお母さんが家族ごと保護することが決まってるのよ。

住む所も用意してくれてるそうよ。」

「えっ?なんで?」

「当たり前じゃない、カエデとユカリは友達なのよ、モミジさんも快く引き受けてくれたわ。」

「じゃあ、俺は?」

「・・・タケフミを庇ってくれる筈がないだろ?」

「なんでだよ、マイの友達じゃないか。」

「マイちゃんなら助けてくれると思うけどタケフミを助けてはくれないんじゃないかな?」

「いーや、カエデちゃんなら助けてくれるね。ちょっと話してくる。」

「おい、待てよ!」


ショウが止めるもタケフミはカエデの所に向かった。

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