第192話 ルナの親孝行

ルナはヨシノブの銃弾が他の銃弾と違う事を聞いて一つ考えが浮かんだ。


「シモちゃん、魔力操作の練習してるんだよね?」

「してるのよ、だいぶ上手くなったのよ。」

「シモちゃんは魔力を物に付与するって事だよね?」

「そうなのよ、銃弾に付与しているのよ。」

「じゃあ、これにも付与できないかな?」

ルナは化粧水を取り出す。


「やってみるのよ・・・出来たのよ。」


「じゃあ、これを・・・」

ルナは取り敢えず腕に塗ってみる。

「うーん、良いような気がするんだけど・・・」

まだ若いルナには化粧水の良さがいまいちわからなかった、だから・・・


「ヨシノブ、ママに化粧水贈っていいかな?」

「化粧水?まあ、いいよ、宅配の出し方はわかる?」

「カエデにこの前聞いたからわかるよ。」

「了解、それならいいんだ。」

俺は深く考えること無く許可を出す。


そして、ルナは自身の母親のミラに手紙と共に贈る。


「何これは!」

ルナから贈られた化粧水にミラは困惑する。

そもそも、異世界という話すら信じがたいのに何故荷物が届くのだろう・・・


しかし、手紙をみる限り、ルナからの贈り物に違いない、

ミラは少し腕につけてみると・・・

従来の物とは比べ物にならないぐらいに肌に染み込み、みずみずしさがよみがえる。

「何よりこれ!今までこんな商品何てなかったわ!」

富豪の妻たるミラは美容には人一倍お金を使っていた、しかし、これに優る物に出合えた事はなかった。


電話の出来る日、ミラはルナに問い詰める。

「ルナちゃん、あの化粧水は何なの?」

「ママ、どうだった?」

「良かったわよ。もうあれ無しでは生きていけないわ、もっと届けてくれないかな?

あと乳液もセットにしてね。」


「ちょっとママ、あれは頼まないと作れないの・・・沢山は無理かな?」

「そんなぁ~ルナちゃんそんな冷たい事を言わないでよ。

報酬ならいくらでも払うわ。」

「報酬じゃないのよ、それにこの国に地球のお金は意味ないし・・・」

「じゃあ、何か必要な物は無いの?

パパから送って貰うわよ。」


「うーん、頼むだけ頼んでみるけど・・・」


「化粧水と乳液を加工して贈りたい?」

「そうなの、この前贈った物をママが気に入って・・・」

「まあ、化粧品ぐらいなら贈ってあげたらいいんじゃないかな?」

「ありがとうヨシノブ!」

ルナはヨシノブに抱きつく。


「ルナさん、抱きつかなくても!」

俺は少し慌てる。


「それでお願いがあるんだけど・・・」

「な、なに、取り敢えず離れようか・・・」

「シモちゃんに協力頼んでいいかな?」

「シモに?本人が良いといったらいいよ。」

「うーん、ヨシノブから頼んで欲しいのだけど。」


「いやいや、俺は子供達の自主性に任せているからね、そういった頼み事は本人にどうぞ。」

「ヨシノブのいけず!まあ、頼んでみるかな・・・そうだ、ヨシノブも魔力使えるのよね?」

「意識したことはないけど、この前の一件を考えると出来るかも?」

「なら少し試してもらってもいい?」

「まあ、俺で良ければ協力するよ。」

「ありがとう!」


その後、俺はルナが持ってきた化粧水と乳液に魔力を込める。

やり方は子供達がやっている事の真似だが・・・

「出来たかな?」

持ってきた化粧水と乳液が少し輝いている。


「・・・これ大丈夫なのかな?」

「わからん!」

「まあ、一応贈ってみるね。」

ルナは母親に化粧品を贈るつもりだった。

まあ、親孝行なのだろう。

俺はこの時軽く考えていた。


「ルナちゃん!あれはなに!」

「ママ、落ち着いて!」

ルナはヨシノブと別れた後、シモに頼み込み、シモの魔力入りの化粧品と一緒にヨシノブ特製の化粧品も付けていた。


「落ち着けないわよ!今回一緒に付けてきてたあの化粧水と乳液で肌が若返ったのよ!

異世界には若返りの秘薬があるの?」

「若返りの秘薬じゃないから、こちらで世話になっている人に作って貰ったのだけど、そんなに違ったの?」

「ええ、この前の化粧水が一時的に肌を若返らせるとしたら、今回は肌を生まれ変わらせたぐらいに違うのよ!」


「落ち着いて、でも、良かったじゃない、それなら化粧水と乳液も、いらないよね?」

「いるに決まっているでしょ!

肌に潤いを与え続ける事が大事なのよ。」

「ええ・・・頼むのめんどくさい・・・」

「黙りなさい。

ルナちゃんはいい子だから言うこと聞いてくれるよね?」


「頼むだけはするけどそんなに何回も無理だから今ある分を大事に使ってよ!」

「わかっているわ!

こんな秘薬がポンポン出来る何て思ってないわ、でも確保をよろしくね。」

ミラの頼みをタメ息混じりに聞くのだった。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る