第193話 化粧品騒動

ルナが贈った化粧品は地球に・・・もとい一部のセレブに騒動を起こす。


とあるパーティー・・・

「あら、ミラさん、何時もよりお肌の具合がよろしいのでは?」

元々美しい姿のミラだが、40歳手前に来て、多少なりの老いが始まっていたのだが、ここにきて生まれ変わったような肌になっている。

「ええ、娘がいい化粧水と乳液を贈ってくれたのです。

それを使ってから調子がよくって。」

「あら、それはどこのお品かしら?私も取り寄せたいわ。」

「ふふ、普通は手に入らない所の物です。」

「教えてくださらないのですか?」

「そんな意地悪はしません、実は・・・」

ミラが自身の友達に化粧品を自慢し、少し試しに使ってあげる。


そして、生まれ変わった肌を持つものが一部のセレブに見受けられた。

そして、異世界の商品の噂はセレブに駆け回る。

そして、それは日本でも・・・


「ヨシノブくん、宮内省から問い合わせがきているのだが、聞いてもいいかね?」

山本に報告会をしていたらふとそんな質問が来た。

「宮内省から?何でしょう?」

「実はやんごとなきお方が異世界の化粧品なる物を探しているそうなのだが、心当たりはないかね?」

「化粧品・・・ああ、もしかしてルナが母親に、イギリスのクレア家に贈った物でしょうか?」

「やはり、出所は君だったか・・・」

山本はタメ息をつく。


「でも、たかが化粧品じゃないですか?」

「君は女性の美への執念を甘く見すぎだ、それでそれはこちらにも渡す事は出来るかね?」

「それは出来ますが、無料でやる意味は無いですよね?」


「君ならそういうと思ったよ、ただ宮内省の方と話してみてくれないか?

多分報酬の話もあるはずだから、検討だけでもして欲しい。」

「山本さんの立場もわかりますから、お話は聞きますよ。」

「頼むよ。」


こうして宮内省方と話す事となる。

「はじめまして、前田ヨシノブといいます。」

「私は宮内省の川上と申します、率直にいいます、あなたが取り扱っている化粧品をやんごとなきお方が所望しております。

提供願えますか?」

「いやいや、提供って、代金とかどうするんです?」

「ちっ!あなたにお金を渡しても意味がないでしょ、それに私達が渡すお金は税金なんですよ。」

「それじゃ話になりません。そもそもやんごとなきお方って誰なんですか?」


「降嫁なされた内親王様だ。」

「・・・うん?降嫁したのに内親王?」

「何に引っ掛かっているんだ。」

「いや、だって、降嫁したなら内親王じゃないよね?一般人になったって事じゃなかった?

そもそも、何で宮内省が動いているの?」


「当たり前だろ、内親王に産まれた方だぞ、一般人の訳がない。」


「いやいや、一般人になったんでしょ?

なら、宮内省が出る話じゃないでしょ。」


「君は皇族の頼みが聞けないと言うのかね!」


「聞けませんね、そりゃ元とはいえ日本人ですから皇室を敬う気持ちはありますが、

無償で頼みを聞くつもりはありません。」


「その言い方何なんだ!この非国民が!」


「非国民?これまた時代錯誤な・・・

まあ、もう国民じゃないですから非国民もあっているのかな?」


「そんな話をしているんじゃない、内親王様の頼み断っていいわけがないだろう!」

「駄目なんですか?もう内親王では無いのに?」

「屁理屈を言うな、内親王様は何処にいかれても内親王様である、降嫁など形だけに過ぎん。」

「あーそうなんですか、それで宮内省が化粧品の買い出しなんかにきているんですね。」

「内親王様の欲しい物を手に入れるのは我等の仕事である。」


「なら、正式にお断りします。」


「そんな事が許される訳がないだろ!」


「許さないってどうするつもりですか?

俺は日本にいませんし、俺に何か出来ない事ぐらい理解してますよね?」


「君には妹がいる筈だ、彼女や夫が仕事を失う、不運が続くかも知れんぞ。

民間人に口を出すぐらい簡単に出来るんだ。」

「民間人の妹に手を出すというのですか?」

「そういう事もあるということだ、さあ大人しく従いたまえ。」


「・・・やれるもんならやってみろ!

その時は俺が宮内省を・・・いや、内親王の家ごと爆破してやる!」

「なっ!脅す気か!」

「そちらが先だからな、やるなら覚悟しておけ!」

俺は電話を切った。





『なお、この物語はフィクションであり、実在の人物・団体・事件とは一切関係ありません。』

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