第191話 逃げたルール

逃げたルールは・・・

「何なんですか、あれは!神たる私に傷をつけるなんて・・・」

基地から少し離れた、森の中に潜伏していた。

「しかし、あいつの攻撃にはトート様の力が込もってました・・・

あいつですか、トート様が間違えて送り込んだ奴は。」

ルールは回復魔法で自身の傷を癒しつつ、ヨシノブについて考えていた。


「厄介ですね、トート様の力が込もっているなら私の結界も何処まで持つか・・・

仕方ありません、この件は後にしましょう、先に聖女の事を片付けますか。

しかし、覚えてなさい!

必ず後悔させてあげます!」

ルールは傷を治したあと、基地を離れて聖女ユカリの元を目指すのだった。


ヨシノブ達が戦力強化に励む頃、ユカリの元にルールが現れる。

「あなたは!」

「私はルール、あなたをこの地に招いた神であります。

ここに来たのは他でもない・・・」


「まあ、神様だったのですね。

立ち話も何ですから中へどうぞ。」


「えっ、あっ、失礼します。」


「ええ、直ぐにお茶を用意致します。

お話はそれからでもよろしいですか?」


「え、えーと、いただきます。」


「ちょうど良かった、新作のケーキが届いた所なんですよ。

一緒にいただきましょう。」

ユカリはルールにショウから届いたケーキを振る舞う。


「何ですかこれは!うーん、美味しい♪」

ルールは一口食べて非常に喜んでいた。


「美味しいですよね、有名パティシエさんが作ったケーキだそうですよ。

あっ、もう一つありますけど、どうですか?」

「いただきましょう!」

ルールは嬉しそうに食べている。


食べ終わったあと・・・

「あのルール様お話とは?」

「あっ、忘れる所でした!あなたの回復魔法の修正に来ました!」

「まあ、それはよかった、この回復魔法使い道がなくて・・・」

「代わりに別の回復魔法を付与してあげましょう。」

「いりません。私は回復魔法が無くても生活出来ております。

新たな力を手に入れても騒動の元になります。

どうか、今ある回復魔法を消すだけにしてくれませんか?」


「欲の無い人ですね。

でも、それがあなたの望みならいいでしょう。

ケーキのお礼もありますし、あなたの望みに従いましょう!」


「ありがとうございます。」


「では、いきますよぉ~」

ルールは単純に回復魔法だけを消し去った。


「完了です、これであなたは回復魔法が使えない、ただの人になりました。」


「ありがとうございます。」


「力を取り上げたのに感謝されるなんて複雑な気持ちですね。」


「これでいいんです。

私は力で人に不幸を招いてしまいましたから・・・」


「そうですか、なら私はこれで去りますが・・・

ケーキはどこで手に入るのでしょう?」

「ルーカス商店に売ってますよ。

気にいったのなら買いにいかれては?

色々な種類がありますよ。」


「他にもあるんですか!

なら、行かないと!」

ルールは慌てるように去っていったのだった。


はからずもユカリはルールの呪いから身を守る事が出来たのであった・・・


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る