第188話 シモは深く眠る

「シモ!」

俺は倒れたシモに駆け寄り声をかけると、満足そうな顔で寝ているシモがいた。


「これは魔力酔いですね、初めて魔力を使う人にたまに見られる症状ですよ。

ヨシノブ様ご安心を、起きたら治ってますから。」

そう答えてくれたのは魔力壁を張ってくれていた、マインズ兵だった。

彼は自身も魔力を使うため、シモの容態はよくあることだと理解していた為、ヨシノブに冷静に答えていた。


「そうなのか?」

「はい、ベッドで寝かしてあげてください。そしたら明日には治ってますよ。」

「ありがとう、直ぐに寝かしつけて来るよ。」

俺はシモを連れていく。

この日の検証はここまでとした。


「むにゅ、よく寝たのよ・・・」

夜中にシモは目を覚ます。

「うにゃ、おとうさんだぁ~」

シモが目をあけるとそこには寝ているヨシノブがいた。

「なんでおとうさんと一緒に寝てるのよ、うにゃ?後ろにおかあさんもいるのよ!」

シモはヨシノブとサリナの間に挟まれて寝ていた。


「ここは天国なのよ。ぎゅっとするのよ。」

シモはヨシノブに抱きついて幸せな気分のまま、再度眠りについた・・・


翌朝、俺が目が覚めると何か冷たかった・・・

「うん?なんだコレ?」

布団に出来た水溜まりを触る。

「うにゅ・・・おはよなのよ・・・はにゃ!」

寝ぼけ眼のシモの目がハッと開かれる。

「はわわ・・・」

シモの動揺が酷い。

「シモどうしたの?」

「ち、ちがうのよ、これは何かの間違いなのよ?きっとこれは夢なのよ。

早く目を覚ましてトイレに行かないと行けないのよ。

このままじゃ大変な事になるのよ。」


「シモ落ち着いて、これは夢じゃないからね。

既に大変な事になってるよ。」


「うにゅゅゅぅ・・・ごめんなさいなのよ・・・」

俺と泣き出しそうなシモの頭を撫でているとサリナも目を覚ます。

「おはようございます、ヨシノブさん、シモ・・・あらあら、シモちゃんやっちゃったのね。」


「ごめんなさいなのよ。」

シモはサリナにも謝る。

「シモちゃん、気にしなくていいのよ、シモちゃんは具合が悪かったんだからね。

それより、濡れたままじゃ風邪ひくから、早くお着替えしましょう。

ヨシノブさん、シモの着替え持ってきてもらえる?」

「わかった、部屋まで取りに行ってくるよ。シモ、その間にサリナとお風呂に入って来なさい。」


「はいなのよ・・・」

シモはテンションが低かった・・・


風呂から出て、着替えおえた後・・・

ヨシノブとサリナは優しかったのだが・・・


部屋に戻ろうとすると・・・

「よっ、おとうさんに聖水かけたって?」

パウルは笑いをこらえながらシモをからかうように言う。


「パウル黙るのよ。」

シモが睨み付けると・・・

「おーこわ。」

パウルは言うだけ言って逃げていく。

追いかけようとするが・・・


「シモ姉、寝る前はトイレに行かないとダメよ。」

シモより年下の子供にまで冷やかされていた。

「あわゎゎ、これは事故なのよ。

おとうさん、おかあさんも仕方ないって言ってくれたのよ。」

「でも、オネショしたんでしょ?」

「・・・うにゃぁぁぁぁ!!」

シモは恥ずかしくて、その場から逃げ出すのだった。

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