第187話 検証

「ちっ!逃がしたか!

しかし、何者だったんだあれは?」

俺達は銃の効かなかった女に対して検討を始める。


「基地に入場履歴はありません。」

「各所に配置してあるセンサーにも反応はありませんでした。」

門番をしてくれているマインズ兵や、警備網を管理している子供達に侵入経路を確認するが、侵入経路は不明だった。


「となると、いきなり現れたということか。

ルナさん、どんな会話をしてたんだ?」

「なんか、神様とか名乗ってました。

最初私に加護を授けるとか言ってましたけど、断ったら怒り出して、呪いをかけると・・・」

「それは危険だな、このままあきらめてくれたらいいのだけど・・・」


「映像から顔写真を作成しました、こいつを指名手配にしましょう。」

子供達は既に敵と認識したルールの顔写真を配り、厳戒態勢をとっていた。


「ありがとう、しかし、なんで俺の銃弾は届いたのかだな。」

「おとうさんの力だから、おとうさんが持つと威力があがるの?」

シモが首を傾げながら聞いてくるが・・・


「いや、そんな事はないはず、同じ威力に射程なんだと思うけど。」

「検証が必要なのよ。

魔力壁を作れる人を集めるのよ。」

「魔力壁?」

「そうなのよ、魔法使いは防壁を張れると聞くのよ、それを何枚破れるかで威力を比べるのよ。」

俺はシモの言う通り、威力の検証を行う、


マインズ兵士の中で魔力壁を張れる者10人が集められ、検証を行う。


俺とシモが同じ銃を撃ち何枚破れるかで判断することにした。

「いくのよ。」

シモが撃つと3枚目で止まる。

「うー悔しいのよ、徹甲弾でやるのよ。」

シモは止められたのが悔しいのか徹甲弾を撃とうとする。

「待ちなさいシモ、それじゃ意味ないから。」

「うーーー!」

「ほらシモ、頭を撫でるからこちらに来なさい。」

不満そうなシモに来るようにいうと笑顔になり飛び込んでくる。

俺はシモの頭を撫でながら、

「じゃあ、次は俺が撃つよ。」

シモを横に置き、俺はシモが持っていた同じ銃を撃つ。

すると10枚全てが破壊出来た。


「おとうさん凄いのよ、どうやったのよ!」

シモは目を輝かせている。

「いや、何もしてないのだけど・・・

次はショウくんも撃ってもらえるか?」

「わかりました。」


同じ日本人なら変化はあるか調べるが・・・

「3枚目ですね。」

ショウもシモと同じ3枚目で止まっていた。


「つまり俺が撃つと対魔法の力がある?」

「そのようですよね。」

俺がショウと話しているとパウルが、

「おとうさん、魔力を込めて撃ったらどうなるのでしょう?」

「魔力を込める?」

「はい、魔法を撃つように、弾に魔力をのせるのです。」

「そんなの出来るのかい?」

「やった事がないのでわからないのですが、やってみる価値はあるかと。」

「じゃあ、出来る人を探さないとな、魔力を使える人って誰かいたか?」


「僕が少しは使えます。」

オットーが手を上げる。

「オットー、魔法が使えたのか?」

「少しだけですけど、ちょっと、やって見ますね。」

オットーは魔力を集中して、銃を撃つ。

すると3枚目が破れた。


「おお!!」

「これ結構しんどいですね。」

オットーは肩で息をしている。


「大丈夫かい?」

「はい、大丈夫です。でも、これで連射は無理かと。」

「オットーが破れるなら、シモも頑張るのよ。魔力でるのよ~魔力~」


シモは見よう見まねで銃を構える。

すると目に見える程濃厚な魔力が銃口に集まっている。

「シモ、集めすぎ!」

オットーが止めるが、シモは構わず撃つ。

「うつのよ!」

魔力壁を10枚破る事に成功していた。


「やったのよ、貫いたのよ・・・」

シモは満足そうな顔をして倒れた・・・


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