第172話 マルコス暴れる

「それで話とはなんですか?

私も忙しいのです。手短にお願いします。」

マルコスは明らかに不機嫌だった。

「あなた!ヨシノブさんに何て口をきいてるの!すみません、主人は最近不機嫌な事が多いもので・・・」

ジェナは深く頭を下げる。


「ジェナは黙っていなさい、それで話とは?」

ジェナを静止してマルコスは話を進めようとする。


「じゃあ、単刀直入に言うよ、

・・・マルコス、裏切ったな?」


「・・・えっ、そ、そんな筈がないじゃ無いですか。」


「証拠は有る、カクタス侯爵に商品の横流しを行い、帳簿の改竄を行ったな。」


「そ、それは・・・そ、そう、今後の販路の拡大の為の先行投資だったんですよ。」

マルコスには明らかに動揺が見られた。


「ローラン王国に大店を持つためか?」


「・・・」


「調べはついている、お前が横流しをしたせいでローラン王国に攻められた。

これをどう考える?」


「あなた・・・それは本当なの?」

ジェナの顔色が悪くなっている。


「商品の売り先については任してくれていたじゃないか!その事を責められても俺に罪は無い!」

「そうか?まあ確かに売り先についてはいいとしても、ほぼ無料で横流しをしたことは?」

「そ、それは・・・」

マルコスは黙るしかなかった。


「こうなった以上、お前に店を任せることは出来ない、今すぐに店から出ていって貰おう。」

「なっ!今すぐとは・・・私の・・・この店はどうするんだ!」


「お前のではない、この店の事はお前が心配することではない。」


「くっ!まあ、いいさジェナ、スィン、フィリア行くぞ、資金もコネもたっぷりあるんだ、再起は何処でも出来る。」


「おとうさん、ダメよ、今すぐにヨシノブさんに謝って!」

フィリアはマルコスに謝罪を求める。

「謝ったって意味が無いだろ、それより後悔するなよ、この店は私が回していたんだ、私がいなくなって上手く行く筈ないからな!」


「わかったよ、さっさと出ていけ。」

「くっ!行くぞ!」

マルコスが出ようとするが、ジェナとスィン、フィリアは動かない。


「お前達どうしたんだ?」

「あなた、私たちが今生きていられるのは誰のお陰かわかっているの?」

「ジェナ?」

「飢えているところをヨシノブさんに助けていただいたの、

それだけじゃないわ、あなたがヨシノブさんを刺した事すら不問にしてくれていたのに、あなたはヨシノブさんを裏切っていたの?」


「不問?そんな筈がないだろ!コイツは俺を地獄のような忙しさに叩き込んだんだ、お前達も俺の苦労は知ってるだろ?」


「商人が忙しい事を恨んでどうするの!

しかも人を雇っていいとまで言ってくれてたのよ。

それをあなたは経費がかかるからとほとんど雇わなかったじゃない!

忙しいのは自業自得よ!」


「そ、それはだな、貯蓄を貯める為にも必要だったんだ。」


「お陰でスィンも外に遊びにも、学校にも行けず、店の手伝いばかりだったじゃない!」


「あっ・・・それは悪かった、だが今後はちゃんとするよ。」

ジェナは首をふる、

「あなたに今後なんて無いわよ・・・」

「ジェナ?」

ジェナはそこまで言うと俺に向き直し、土下座をする。


「ヨシノブさん、主人のしたことは許されない事だと思います。

ですが、私達は知らなかったのです、どうか息子と娘の命だけは助けてくれませんか?

その為なら私がどうなってもかまいません。」

「ジェナ!何を言っているんだ、金はあるんだ、コイツに頼らなくても、もう何とでも出来る。」

「あなたは黙って!お願いします。

どうか慈悲の心で子供だけでもお願いします。」


「くっ、警備員、コイツらを叩き出せ!痛め付けてもかまわん!」

店にはマルコスが警備に雇った冒険者がいる、それをヨシノブにけしかけようとする。

「あなた!止めて!」

ジェナは止めるもマルコスは聞く耳を持たない。


「兄さん達悪く思うなよ、俺達も仕事だからな、抵抗しなければ多少の怪我で済ませてやるから。」

五人の警備員は俺達に近づくが・・・


全員パウルとオットーに足を撃ち抜かれ、

シモに漢の尊厳を撃ち抜かれていた。


「ぎゃあぁぁぁぁぁ・・・」

警備員は倒れる、

パウルとオットーも思わず股間を押さえる。


「ゴミがおとうさんに近付くなんて許されないのよ、あと1㎜でも近付いたら頭を撃ち抜くのよ。」

シモの眼はゴミを見るような眼だった。


「シモ、シモちゃん・・・股間はやりすぎじゃ?」

パウルは思わず聞く。

「どうせパウルと同じで使い道なんて無いのよ。」

「俺はあるよ!」

「ないのよ、パウルが好きになる子は他に好きな人がいるのよ。

今好きなアイだって・・・言い過ぎたのよ。」

「アイちゃんが何だって!」

「何でもないのよ、それよりゴミが一つ残っているのよ。」

「よくはないけど・・・確かにゴミが残っているな。」

シモとパウルはマルコスを睨むのだった。


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