第145話 フォルサの娘
「ヨシノブさん、フォルサの娘ファイと申します!
末長くお側において貰えるよう頑張ります!」
フォルサの紹介状を持ってやって来たのは、二十歳の美しいお嬢様だった。
「フォルサ、まさか娘を出して来るとは・・・ファイさんもお嬢様でしょ?こんな仕事断ればいいのに。」
「ファイでいいですよ、お父様から話を聞かされて喜んで来ました!
魔族領でのヨシノブさんの立場の保証と魔族領での商売を取り仕切らせてもらいます!」
「ありがとう、ただ、まだ商売するかは決めてないのだけど・・・フォルサには贈っておくか。」
「はい、お父様も私に頭を下げて頼んで来いと言ってました。」
俺は三本程取り出し、
「これをフォルサに贈って貰えるかな?」
「・・・これは以前と違う瓶ですね?」
「ああ、同じ酒だと面白く無いだろ?」
ファイはおもむろに開封する。
「あ、あのファイさん?何を?」
「あじ・・・毒味です♪お父様は一応公爵なので毒味の必要があるんですよ♪
あっ、ヨシノブさんを疑っている訳じゃないですから。」
ファイは3本すべて七割を飲みきる。
「素晴らしい、お味です。これはマイルドなのに複雑な味わい、こっちはフルーティーな香りにスッキリとした後味、これなんかはまろやかな味わいとのど越しがいいですね♪」
ファイは楽しそうに味を思い出している。
「ファイさん、いける口ですね。」
「はい、結構飲めますよ♪」
「それなら拠点に戻ったら一度飲みますか?色々御用意出来ますよ。」
「喜んで!」
「こちらこそ、飲める人が少ないですから、歓迎会の意味も兼ねて行いましょう。」
「ありがとうございます!」
その後ファイは七割を空けたウイスキーを何食わぬ顔でフォルサの元に送る。
届いた酒を見たフォルサは・・・
「何故こんなに少ないのだ・・・?これがこの酒の仕様なのか?
・・・うん、手紙か?」
『お父様へ、
ちゃんと私が責任を持って毒味しておきました。
非常に味わい深い3本でした。
お父様もゆっくり味わってください。
あと~ヨシノブさんに飲み会に誘われてしまいました。
お父様の代わりに沢山の(お酒との)出会いをしてきますね♪』
フォルサは手紙を握り締める。
「あ、あのバカ娘がーーー!!」
フォルサの怨嗟の声が屋敷に響き渡るのだった・・・
なお、ヨシノブの気配りにより、別便で三本同じ物が届くのであった。
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