第144話 魔族の行動・・・
ヨシノブが去った後、シャルルの元に被害報告が上がってくる。
港に停泊していたアホガンテの船は撃沈、海に投げ出された乗組員の多くも容赦なく始末されていた。
「な、なんと・・・報復まで早い、あの者達の取扱いには注意がいるな・・・」
「シャルル様、アホガンテ様の領地にどう伝えますか?」
「そのまま伝えよ、私の客人の人族にいきなり攻撃を加え、返り討ちにあったとな。
この事について抗議する事も伝えよ!」
「はっ!」
シャルルは自分の客人を傷付けたアホガンテに怒りを覚えていた。
お陰で面子は丸潰れだった・・・
「何が魔王陛下からも守るだ・・・何も出来てないじゃないか!」
シャルルは部下が去った部屋で悔しさを滲ませていた。
一方、フォルサも港の状況を把握していた。
「ヨシノブの奴!すげえな。これは送る奴はそれなりの奴じゃ無いと駄目だな・・・」
フォルサは当初、副官の中でも穏健な奴を向かわすつもりだったが、方針を変える。
「ファイを呼べ。」
フォルサは愛娘のファイを呼び出す。
「お父様、お呼びですか?」
現れた娘ファイは見た目は美しいが好奇心旺盛な性格が災いして、二十歳を越えたのに嫁にも行かず(行けず)フォルサの元にいた。
フォルサも自身に似ているファイを気に入っており、嫁に行かずとも良いと考えていた。
「うむ、お前に任務を与えたいと思ってな。」
「・・・何でしょう。」
ファイは聞く前から嫌そうな顔をしている。
「そんなに嫌そうな顔をするな。」
「だって、お父様が与える任務ってろくな事が無いじゃないですか。」
「そう言うな、今回は大事な任務だ。」
「はぁ・・・何でしょうか?」
ファイはタメ息混じりに聞く。
「俺の新たな友人となった人族のヨシノブの元に行って友好を深めて欲しい。」
「えっ!お父様が人族と友人になったのですか!」
「おう!中々の奴だぞ、あのアホガンテが今や肉片となった。」
「アホガンテって、あの気持ち悪い奴ですよね・・・」
アホガンテは以前ファイに言い寄って来たことがあり、ファイも嫌悪感を持っていた。
「はっきり言うな、一応あれでも公爵だったのだぞ。」
「気持ち悪いモノは気持ち悪いです。
でも、アホを倒したのですか♪
それはいい方ですね。」
「お前は何で人を見るのだ・・・まあ良い、それにな、これを見よ。」
フォルサはヨシノブに貰った酒と菓子を見せる。
「これは?」
「ヨシノブからの贈り物だ、この世界には無い味わ・・・こら!迷わず食べるな!」
ファイはそのまま包装紙を外し、お菓子を食べる。
「美味しいです!お父様!これは何処で!」
「だから、話を聞かんか!これはヨシノブから貰った物だ、俺としてはこれを何時でも手に入るようにしたいのだ。
ただ、人族が商売するには魔族領は辛いであろう。
その取り纏めをお前に頼みたい・・・
って!飲むな!それは俺の酒だ!」
ファイは酒も開封して飲み始めた。
「ああ・・・なんていう味わい深さ・・・
お父様、決めました!この仕事お引き受けします!」
「や、やる気になってもらって嬉しいが・・・飲むんじゃない!もうそれしか無いんだぞ!」
「無理です、手が止まりません♪」
ファイはクピクピ飲んでいる。
「あー!俺にも寄越せ!」
結果親子二人で一瓶を取り合い飲み尽くすのであった・・・
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