第139話 初めての魔族領

ショウはまず魔族領でも人と交易をしている街についていた。


「ここが魔族領か・・・」

「ショウ兄、油断しないでくださいよ。」

パウルとオットーは厳戒体制で周囲を確認している。

「パウルくん、オットーくん、そこまで警戒しなくても、まずはこの街を治める方に面会しようか。」

ショウはヨシノブからルクス経由でマインズ王国の紹介状を預かっていた。

そして、日本産の酒、菓子、美容品を献上に向かう。


「そなたがルーズ王からの使者か?

見事な献上品、感謝しよう。」

ショウがあったのはシャルルという二十歳ぐらいの若い女性であった。

領主と聞いていたから、もっと年配の方を想像していたショウは驚きを隠せていなかった。

「ふっ、そんなに見つめるでない、若い女が領主をしているのが珍しいか?」

「こ、これは失礼しました。」

ショウは頭を下げる。


「よい、献上品に免じて許そうではないか。

して、これは今後も手に入る物なのか?」

「はい、我等の活動を許していただき、魔王領での調査をお許しいただけるなら。」

「ふむ、我が領での活動なら許しても良いが、他の領地までは口出しできん。」

「ならば、他の方に紹介していただけませんか?」

「それは構わん、折角だ、魔族の主だった者を呼んだパーティーを開いてやる。」

「ありがとうございます!」

「ただし、条件がある。」

「条件ですか?」

「そなたの上を呼べ。」

「えっ?」

「気付いて無いとおもうのか?挨拶ゆえ、使者として認めたが、各当主を招いたパーティーの場に下の者では格好がつくまい。」

「おそれながら、魔族の方は人族にいい感情を持たれてないとお聞きしました。

私の上司に何かあれば我等は崩壊してしまいます!」

「安心せよ、私の領内での身の安全は保証する。たとえ魔王陛下といえど手出しさせんと誓おう。

まあ、パーティーに招待した者を襲うなど無粋な真似をすれば許されん事ぐらいどの当主も知っておる。

我等はそのような野蛮人ではない。」

「わかりました、シャルル様のお話を当主にお伝えいたします。」

「うむ、暫し待て。」

シャルルはサッと手紙を書く。


「これが招待状だ、護衛を含め好きな数で来るがよいぞ。」

「お気遣い感謝いたします。」


こうして領主シャルルとショウの謁見は終わったが、結局ヨシノブの呼ぶしかない、事にショウは自分の無力を感じていた。

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