第138話 トートとルール

神の世界では・・・

トートがついに異常事態を察知した。

「なんで、勇者が呼ばれたの・・・」

トートが記録を遡っていくと召喚の時間が判明する、しかし、その日は上位神に呼ばれて、合コ・・・親睦会の打ち合わせに行っていた時間だった。


「この時間私がいない筈なのに誰が・・・?」

トートが調べているとマーマから情報が入る、

「その日?そういえばルールがトートの部屋から出てきてたよ。」

「えっ、ルールが?ってそうよ、ルールが座ってた日があったわ!」


トートはルールを捕まえ、問いただす。

「ちょっと、ルールあなた私の管理している世界で何をしたの?」

「トート様、やっと気付いてくれたんですね。感謝してくださいよ。」

「感謝って何よ、あなた何をしたの?」

「ふふん、トート様のミスのフォローをちゃんとしときましたよ!」

ルールは無い胸をはる。


「私のミスのフォロー?」

トートは首を傾げる。


「そうですよ、この前も失敗してたのにまた失敗してましたから、私が機転を効かせて、パッと解決しておきました!」


ルールの言葉に悪い予感しかしない・・・

「・・・ねえ、何をしたか教えてくれるかな?」

「トート様の部屋に迷い込んでいた二人を勇者と聖女として送りました!」


「あなた、何をしてるのよ!勝手にしては駄目って教わらなかったの!」

「えっ、なんで、怒っているんですか?

やり方は授業で習いましたし、簡単に出来ましたよ。」

「そんな事じゃないの!うわっ!しかもこれって勇者でも、聖女でもないよ。」

トートが調べるとそれは酷いものだった。


男の子は死なない体と聖剣を装備できるが、理性を下げられ、しかも身体能力はそのままで送り込まれている。

これじゃ聖剣の力で戦うだけのポンコツだ。


女の子は聖女の称号が与えられてはいるが、中身は勇者より酷い、植物を育てては土が枯れ、傷を治せば寿命を減らすマイマス効果が高すぎる。

これじゃ到底聖女ではない、むしろ悪魔に近いであろう。


「私間違ってました?」

「間違いも何も、聖剣を持てるだけで死なない人間と、回復のかわりに不幸にする聖女って・・・」


「えっ、そんな物じゃ無いんですか?」


「違うわよ、此処を操作して、このステータスを付属しないと駄目なの!」

「あれ、こんなところにフォルダ分けされてたんですね。なるほど~」


「もう、何を勝手にしてるの・・・あれ?しかも何これ?」

「どうしました?」


「他にも人が一緒に世界を渡ってるじゃない!」

「あらら?でも、他に人はいませんでしたよ?」

「いませんですまないの!あなたが勇者と聖女召喚に許可を出したから、この子達は巻き込まれたの!

二人同時なんて本来許されてないんだからね!

本当なら此処にきた時に送り返さないと!」


「あれ?ここに来たら送り返せないのでは?それで前の人を送ったのではなかったのですか?」

「あれは・・・あの人は勇者召喚と違うの。間違えて輪廻転生の方に入っちゃったから既に元の世界で死んでしまったのよ。

でも、勇者召喚なら、魔法陣で通ってるだけだから返せたのに・・・」


「へぇー勉強になりました!じゃあ私は帰りますね。

おつかれさまで~す。」

トートは帰ろうとするルールの肩を掴む。

「何を帰ろうとしてるのかしら?これから主神のところに行きますよ!」


「えっ、いやですよ、なんでそんなところに・・・」

「あんたがやらかしたからでしょ!

これから対応の協議をしないといけないけど、その前に報告よ!」

トートはルールを連れて主神の元にむかうのだった。

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