第133話 タケフミの治療・・・
「ショウくん、どういう事だい?」
俺はまやに急いで来て、ショウに確認する。
「ヨシノブさんすいません、先に連絡すべきでした。」
俺はショウから事情を聞いて頭を抱えた、確かにすぐに連絡がつかなかった自分が悪いが、まさか、ユカリの魔法を使うとは・・・
「はぁ、やってしまったものは仕方ない、タケフミくんは?」
「・・・かなり、歳をとってしまってやさぐれてます。」
連絡を聞いた俺はタケフミの状態を聞いていた。
「とはいえ、まだ治りきってないのだろ?」
「はい・・・」
「ならこれを渡してくれ。」
俺は世界樹の雫を2本ショウに渡す。
「これは?」
「身体の欠損を治す薬だ、1本はショウくんが飲みなさい、そして、もう1本をタケフミくんに飲ませてあげて。
俺が渡すよりショウくんの方が彼も受け入れるだろ?」
「ありがとうございます。」
ショウは深く頭を下げる。
「気にしなくていいよ、それより早く治してあげるといい。」
「はい!」
ショウはタケフミの元に薬を持っていく。
「タケフミ、薬が手に入ったぞ!」
「薬?」
「身体の欠損が治るらしい。」
「らしいってなんだよ、それ大丈夫なのか?」
「大丈夫だと思うよ、わざわざヨシノブさんがエルフの里まで行って貰って来てくれたんだ。」
「あいつが貰ってきた薬か・・・」
「お前なぁ!・・・まぁいい、俺の分も貰ってきてくれたから先に飲むよ。」
ショウは迷わず世界樹の雫を飲んだ。
するとショウの身体は輝き・・・
光がおさまった頃には身体が治っていた。
「すごい、足が自由に動く!」
さっきまで引きずっていた足が動く、ショウは喜びながら跳びはね、自由に動く喜びを感じていた。
「ショウ痛くないのか?」
ショウが痛そうにしていたのはタケフミも知っていた。
それが跳びはねているのだ、驚きの表情で見ている。
「全然痛くない!」
「なら、俺も・・・」
ショウが治った事を見て、タケフミも世界樹の雫を飲む。
タケフミの身体も輝き出し、失った足と男の尊厳も回復した。
「足がある!アレも!やったやったぞ!」
タケフミは喜ぶ、そして、鏡を見ると・・・
「な、何でだよ!何で歳をとったままなんだよ!」
「タケフミ落ち着けよ!」
「うるさい!こんな事ならユカリに何て頼むんじゃなかった!」
「ユカリさんが悪い訳じゃないだろ!」
「うるさい!うるさい!お前にはわからないさ!
こんな事なら基地で寝てたら良かったんだ、そしたら歳をとらずに済んだのに!」
そう言われるとショウも心が痛かった、ヨシノブに相談しておけば・・・その思いが頭をよぎる。
「お前もお前だ、よくも俺をこんな所に連れてきたな!」
「いや、俺は良かれと思って・・・」
「うるさい!俺が老けたのはお前のせいだ!何とかしろよ!」
タケフミは周りに当たり散らす。
騒がしくなったのでマイもタケフミの部屋にやって来た。
「お兄ちゃんどうしたのっ!足が治ってる!」
「ああ、治ったさ!ヨシノブが薬を用意してくれてね。
だけど、お前達のせいで歳をとったままさ!どうしてくれるんだ!」
「だ、だって、身体の欠損を治すのにはそれしかないと・・・」
「あるじゃねぇか!何も知らないのに勝手な事をしやがって!」
結果論とはいえ、マイも後ろめたさがある、
言葉に詰まる事となった・・・
それからもタケフミはショウとマイに罵声を浴びせ続けた。
そのたび、二人の心がタケフミから離れていく。
「タケフミくん、落ち着きなさい。
二人を悪く言うのは間違っているよ。」
騒動を聞いて、俺は駆け付ける。
「ヨシノブ!お前もお前だ!こんな薬があるなら先に用意しておけよ!」
「本当にあるか確信を持てなかったからね、実際に手に入れるまでわからなかったんだ。」
「うるさい!それでも何か手はあった筈だろ?そうすれば俺は歳をとらずに済んだのに!」
「そうとはいえ、魔法を受けるのは君も同意したと聞いたよ。
ショウくんもマイちゃんもユカリさんも君を助けてあげようと努力した結果じゃないか。
結果論で話してどうするんだ?」
「うるさい!何もしなければ俺は歳をとらずに済んだんだ!
こいつらは最低だ!」
あまりの言葉にショウとマイの心は傷つく一方だった。
「俺はショウくんとマイちゃんが君の為に頑張っているから、この薬を手に入れてきたんだ。
もし、二人が何もしなかったら、俺は薬を取りにいかなかっただろう。」
「なっ!」
「そもそも、俺が君の為に動く理由は無いからね。
全てはショウくんとマイちゃんの為だ。」
「お前は同郷の子供を見殺しにする気か!」
「甘ったれるな!
いつまで被害者ぶっているんだ、この世界に来たのは不本意かも知れない、だけど、君はこの世界に来て何をした!
ショウくんは身体に障害を負っても、前に立って後輩の女の子達に恥ずかしくない生きざまを見せてくれている。
マイちゃんは明るく振る舞い、みんなを励ましている。
ミキさんは傷つき泣きたい気持ちを我慢して今ではショウくんを支えてる。
カエデちゃんはみんなが悩み込まないよう気配りをしているんだ。
どんなに理不尽でも、みんな生きるために助け合って頑張っているんだよ!
君だけが周りに当たり散らして不平不満を言っているんだ!
いい加減目を覚ませ!」
「・・・くそっ!くそっ!くそっ!お前みたいなチート野郎に言われたくない!
俺にお前のような力があれば、俺がみんなを守ってやっているんだ!」
「確かに俺もこの力が無ければ、何処かで死んでるだろうな。
きっと運が良かっただけだろう。
だけど、俺にこの力が無ければ死んでいたのは君も同じだろ?
最初に頼って来た気持ちを忘れたのか?」
「うるさい!その力を俺に寄越せよ!」
タケフミは感情的になりすぎついに俺に殴りかかってくる・・・
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