第132話 エルフの里

タケフミがユカリの魔法を受けようとしている頃、俺はエルフの里に来ていた。

同行しているのは護衛としてパウルとオットーが来ていた。


「はじめまして、ヨシノブと申します。」

「おお、貴方が勇者を名乗る愚か者からフェオン様を守っていただいた方ですか!

私はエルフ族の長をつとめる、アルコと申します。」

美形の青年が挨拶をしてくれる。


「アルコさん、不躾ですが、この里に身体の欠損を治す薬があると聞きやって来たのですが、お譲りして貰えませんか?」

「・・・有ることはありますが。」

「お願いします。どうかお譲り願えないでしょうか?」

俺は深く頭を下げる。


「いえ、譲らない訳では無いのです、ただ、それを手に入れるには資格がいるのです。」

「資格ですか?」

「はい、この里にある世界樹の神殿で祈りを捧げ、精霊様に認められた方のみが世界樹から分けていただけるのです。」

「ならばそれに挑戦させて貰っても?」

「ええ、構いません、儀式には準備が入りますので3日程お待ちください。」

アルコは里に部屋を用意してくれ、俺は言われた3日待つ。


「準備が整いました、さあこちらへ」

俺は世界樹の麓にある神殿にやって来た。

そこは入っただけで身が引き締まるような、神聖さに溢れていた。


「これは・・・」

「これが世界樹の神殿です、悪しき者は入る事すら出来ないのですが、ヨシノブさんはまずは合格ですな。」


「いきなりで人が悪いですね、でも、ここで祈ればいいんですか?」

「はい、一晩ここで祈りを捧げ精霊様から許可を貰えたら世界樹の雫が手に入ります。

それを飲めば、身体の欠損すら治る事でしょう。」

「わかりました。」

そういうとアルコは神殿から下がっていった。

残されたのは俺一人

俺は祈りを捧げる・・・


どれぐらいたっただろう、目の前に気配を感じた。

「異世界人さん?ねえ?ねえ?」

目をあけると目の前に小人が空を飛んでいた。

「うわっ!って、精霊様ですか?」

「やっと、気付いてくれた、ずっと呼んでいたんだよ。」

「すいません、全く気付けなくて。」

「まあ、許してあげるよ、君はトート様の加護を持っているようだしね。」

「加護を持っているのですか?」

「何で知らないんだよ!」

「いや、お会いして、力はいただけましたけど、加護まで貰っていたとは・・・」

「はぁ、君はもっとトート様に感謝すべきだよ。」

「感謝はしているつもりですが・・・」


「まあ、いいや、世界樹の雫が欲しいのだよね?」

「はい、分けて貰えますか?」

「いいよ~ただ、あまり量は取れないからね、今あるのは5人分かな?全部持っていきなよ。」

「いいんですか?」

「トート様の加護がある者だからね、いくらでも持っていってもいいよ。

ただし、次に一人分が出来るのは1ヶ月かかるからね。」

「えっ?もしかして毎月出来るのですか?」

「出来るよ~ただしストックは5本までなんだ、

それと外に持ち出したら10日で使えなくなるから注意してね~」

「ありがとうございます。では、2本貰っていきます。」

「うん、また来なよ。」

「はい、また来ますね。」

俺は世界樹の雫を手に入れ神殿を後にした。

外に出るとアルコが待ってくれていた。


「おお、無事手に入れましたな。」

「お蔭さまで手に入れる事が出来ました、何とお礼を言っていいか。」

「なに、これも精霊様のお導きです。」

「ありがとうございます、これを怪我人に早く届けてあげたいので、お礼は後日。」

「お礼なんて構いませんよ、それより早く行って治してあげてください。」

俺はエルフの里を後にして基地に帰還しようとヘリを呼び出し、基地に連絡を入れるとサリナからショウ達がユカリの魔法で治療をしようとしている事を聞く。

「パウル、オットー、ショウ達の所に急ぐよ。」

俺は二人を連れて、ショウと合流を急いだ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る