第134話 タケフミの末路

殴りかかってきたタケフミを待っていたのは・・・


パン!パン!パン!パン!

四発の銃弾だった。

「ヨシノブさんに手を出そうとするなんてな。」

「俺達がいるのにさせるわけないだろ。」

パウルとオットーが手足全てに銃弾を撃ち込んでいた。

「ぎゃぁぁぁぁ!!いたい、いたい!」

タケフミは転がり回る、

しかし、普段なら止めそうなマイですら、今回は固まったまま、動かない。


「ヨシノブさん、止めをどうしますか?」

オットーは銃口を突き付けたまま聞いてくる。


「ささなくていいよ。」

俺はポーションをかける。

「はぁ、はぁ、はぁ。」

タケフミは息をあらげている。


「タケフミくん、改めて言う、君を保護する気はない、何処かで暮らすといい。」

「なっ!お前は何を、同郷の子供を見捨てるのか?」

「既にツバサくんを撃ったからね、今さらかな?」

「それでも、俺は・・・ほらこうして生きてるし・・・」


「君を置いておくとたぶんすぐにこの子達に撃たれるよ。

そういう意味では何処かで暮らした方が生きていられるかもな。」


「い、いや、だって、その子達を止めれるんだろ?」

「今味わった通り、止める間もなく撃つよ。」

「ひぃぃぃぃ!」

パウルとオットーの銃口がタケフミをとらえている。

「まあ、俺も鬼じゃない、働く場所ぐらいは用意してやる。

そこで働くか、他に行くかは好きにするといい。」

「ま、待てよ、何で俺が働く必要が・・・」

「生きてく為だよ、港にあるマルコス商会に行くといい、これが紹介状だ、これで雇ってくれるだろう。

住み込みで働けるように書いて置いた。

後は好きにするといい。

パウル、艦から追い出せ。」

「はい!ほらさっさと行け。」


「ま、待てよ話はまだ終わって、マイ!ショウ!・・・」

タケフミはこの期に及んでもマイとショウに助けを求めようとするが・・・


「タケフミ、俺は言ったよな、

友人と思って忠告してたのに裏切りやがって・・・」

ショウはタケフミに呆れていた、しかし、ヨシノブが殺さないと言ったことに安堵もしていた。


そして、マイも、

「お兄ちゃんは何を考えてるの、みんなにあんなこと言ったのに助けて貰えると思ってるの!

殺されないのだから、自分で頑張って生きてよ!」


「なっ!それが兄に向かって言う言葉か・・・」


パウルはタケフミの頭に銃を突きつける。

「さっさと行けと言ったよな、

僕は別にお前をこっそり海に捨てても心が痛む事はない。さあどうする?」


「わ、わかった、行くよ行くから銃をおろしてくれ!頼むよ!」

「なら歩け、このゴミが。」

タケフミは渋々ながら、パウルに艦から追い出され、マルコス商会に向かう事となった。


「ヨシノブさんの紹介ですか・・・まあ、いいでしょう、雇ってあげます。」

タケフミは結局、マルコス商会で働く事となる。

「何ですか、力仕事も出来ないのですか!その年まで一体何をしてきたのですか!」

「いや、俺はまだ・・・」

「あー喋る時間なんてありませんよ、早く商品を並べてください!」

「はい・・・」

タケフミはあまりの忙しさに追われ何も出来なくなっていた。

マルコス商会の下男としてこき使われ、給金もあまり高くない、苦しい生活が待っていた。

この世界には労働基準法など存在しない。

タケフミは朝から晩までこき使われ、反抗する体力、気力を奪われる。


日本ではあり得ない、ブラックな環境での仕事にせいを出すしかなかったのだった・・・

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