第130話 聖女の回復魔法
救助されたタケフミは介護される生活をしていた。
「なあ、マイ、俺の手足を治す方法あるよな?」
「お兄ちゃん・・・」
兄の泣き言を聞きながら世話をする、マイの表情は暗くなる一方だった。
しかし、そこに一つの光明が指す、ショウが聞いて回った結果の中で、ユカリが手足を治す術が使えると言うのだ。
ただ、リスクがあると付け加えられていた。
その頃ヨシノブは調べ事の為に基地を離れていた、連絡を取ることが数日出来なくなるとの事だった、
逸る気持ちを押さえきれなかったタケフミはショウに頼み込み、マインズ王国に来た。
ヨシノブの許可を取らず、マイを通して基地にいたサリナに伝言だけを残す・・・
「サリナさん、少しマインズ王国に行ってきます。」
「えっ、マイさんどうしたんですか?」
「お兄ちゃんを治せるかも知れないんです!ヨシノブさんに伝えておいてもらえますか!」
「待って、今ヨシノブさんが・・・」
「待てません、お兄ちゃんを早く治してあげないと!」
逸る気持ちが押さえれなかったのはマイもタケフミと同じだった、
それにマイの介護に疲れを感じていたのだった・・・
サリナの止めるのも聞かずに出航してしまった。
ユカリの軟禁所にきたマイはユカリを問い詰める。
「ユカリ!お兄ちゃんを治せるって本当!」
「マイ、落ち着いて!治せるけどリスクも大きいわよ。」
「それでも!」
「いいから聞いて、大事な話なの!」
ユカリはマイとタケフミ、ショウとミキに自分の術を説明する。
それは治せる代わりに歳をとるというものだった。
「歳って何歳ぐらい?」
「わからない、こんな重傷治したこと無いから、でも、骨折を治した時は少し老けたかなぐらいだったよ。」
「それじゃわからないわよ。」
「仕方ないじゃない、検証出来てないのだから!」
「・・・どうする?」
ショウは悩む、手足を失った状態からの回復、一体どれぐらい歳をとるか見当がつかなかった。
かといって他の誰かで実験なんて・・・
「頼むユカリさん!俺は寝たきりなんて、いやだ!
少々歳をとったって構わないから治してくれ!」
タケフミがハッキリ言う、
寝たきりになってしまった本人からすれば治るなら歳をとっても構わなかった。
「わかったわ、でも、もう一度聞くけどいいの?歳をとるのよ?」
「俺はまだ若いからな少しぐらい歳をとったって構わない、さあ早くやってくれ。」
ユカリはマイにも確認するが、介護に疲れていたマイも同意する。
「みんな、待てって!一先ずヨシノブさんに相談しよう、他に手段があるかも知れない!」
ショウはここにきて、ヨシノブの許可をとってない事を気にしていた、そして、この場に自分達しかいないことに思考の固まりを感じていた。
「ショウ、あいつがいたって治らないじゃないか!俺は1日でも早く寝たきりから解放されたいんだ。」
被害を受けているタケフミの言葉にショウも反論出来なかった。
「じゃあ、いい使うよ。」
「早くやれって!」
タケフミはユカリを急かす。
そして、ユカリは回復魔法を使う・・・
「おお、手が・・・」
タケフミの失われていた手が生えてくる、
今のところ、タケフミの見た目に変化はなかった。
「やった手がある、ユカリさん早く足も!」
タケフミは嬉しそうに手を動かしながら、続きを頼む。
「わかったわ、足にいくね。」
ユカリは少し疲労しながらも続きを行う。
そして、足が生えて来ている頃から見た目に変化が出てきた、タケフミの身体が少し大きくなり、髭も生えてくる。
「おい、タケフミ!」
「これが歳をとるって事か?でも、大丈夫だ、足を早く治してくれ!」
ユカリは術を使いながら不安になっていた・・・
タケフミの変化が大きいのだ、右足が治ったところで一度止めた・・・
「何で止めるんだよ、もう少しじゃないか?」
あと治っていないのは左足と男の尊厳だ・・・
「タケフミさん、これ以上は・・・」
ユカリが術を止めたのは無理がなかった、
既にタケフミの顔に年齢を感じるようになってきていた、髪にも多少だが、白髪も見える、見た目40歳手前ぐらいに見えた・・・
だが、自分の変化に気付いてないタケフミはユカリに要求する。
「いいから、早く治せよ!これじゃ何も出来ないじゃないか!」
治そうとしないユカリに強く言い出すが・・・
「タケフミ、一度自分を見てからにしろよ・・・」
ショウは鏡を持ってくる。
「なんじゃこりゃーーー!」
タケフミは自分の顔とは思えない変化に驚きを隠せなかった。
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