第129話 ユウキに電話・・・
俺達は基地に帰ってきた。
「お兄ちゃん・・・」
タケフミのあまりの酷さにマイは言葉がでない・・・
既にタケフミにはポーションを使用してキズはふさいだが、両手両足を失い、男の尊厳まで失っていた・・・
「タケフミ・・・」
ショウも友人のあまりの変わりように涙する。
そして、この事はタケフミの父、ユウキにも伝えるしかなかった。
俺はテレビ電話をユウキにかけ、事情を説明する。
「なんだと!タケフミがそんな目に!お前が見捨てていったからだ!
どうしてくれるんだ!」
「言葉もありません。まさか、友人と聞いていたツバサくんがこのような暴挙に出るとは思いもしませんでした。」
「そんな事はどうでもいい!さっさとタケフミを治せ!俺達の子供を返せ!」
俺はユウキの気持ちがわかる気がしたからなじられるまま聞いていた。
だが、電話をしていると聞いたマイが途中から駆けつけて来て、俺のフォローを始めた、
「お父さん、ヨシノブさんが悪いんじゃない!お兄ちゃんが一緒に行かないって言って聞かなかったの!」
「だがな、大人として連れて行くのがスジではないのか?」
「そんなの結果でしょ!お兄ちゃんは自分で選んで私のいうことも聞かずにツバサさんの所に行ってこうなったの!
それをヨシノブさんのせいにするのは止めて!」
ユウキもマイの説得に言葉を失っていた。
実際、俺のせいじゃ無いことはわかっていたのだろう、ただ理不尽な結末に誰かに当たりたかっただけなのだ。
「取り乱してすまなかった・・・それでタケフミは今後どうなる?」
マイの言葉で冷静さを取り戻したユウキは話を次に進める。
「既に寝たきりですので、基地の一室に部屋を用意して、誰かが介護するしかないですね。」
すると、さっきまであたっていた事に後ろめたいのか、言いにくそうに話しかける。
「・・・マイだけだと大変だと思うのだが、その・・・協力はお願い出来ないか?」
「お父さん!恥ずかしくないの!」
マイはいきり立ち、ユウキを責める。
「マイちゃん落ち着いて、もちろんマイちゃんだけでは大変でしょうから・・・」
俺がみんなで介護と言う前に、シモが入ってきた。
「おとうさん、話は聞いたのよ。
おとうさんに暴言吐いて出ていった子の面倒をなぜみないといけないのよ?」
「こら、シモ電話の途中だよ。」
「でも、この人おとうさんを悪くいうのよ?
危険を犯して助けたのにおとうさんが責められる必要はないのよ?」
「それは・・・」
ユウキは困った表情を浮かべている。
「手足を失って生きていけるのはお金を持ってる貴族様だけなのよ、この人は貴族なの?」
「いや、私はヨシノブさんと同郷の・・・」
「同じ出身で助け合うのも限度があるのよ、おとうさんに何をしてくれるの?」
あまりの正論に言葉が出ない。
実際にユウキがヨシノブに出来ることなんてなかった。
「シモいいから、すいません、子供の言うことですので、ですが、あまり要求過多は控えていただければ・・・」
俺は不満そうなシモを宥める為にも電話を終え、外に連れ出し一緒に遊んであげる。
その日のシモは珍しく俺にベッタリで随分時間をとられた。
一方、シモがヨシノブを捕まえている頃、誰もいなくなったWi-Fi室からヘルマンが代表して、ユウキに電話をかけていた。
「君は?」
「私はヨシノブさんの元で過ごしている子供の代表です。」
「そ、そうかい。それで何の用だい?」
「貴方はあまり調子にのらない方がいい。」
「何?」
「ヨシノブさんを慕っているものは多くいると言うことです。
人を侮辱するには命をかける覚悟をすべきだ。」
「なんだと!」
「我々はいつでも、貴方の子供を殺す事が出来る。
また貴方の自宅に爆弾を送る事すらね。」
「えっ・・・」
「ヨシノブさんは優しい人だが、我々は違う、よくよく考えて物を言う事をおすすめする。
なお、この事をヨシノブさんを含め誰かに喋った瞬間・・・覚悟して貰う。」
そして、電話が切れる。
ユウキの背中に冷たい汗が流れるのだった。
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