第110話 帝国皇太子
ショウが追い付いた時には、ヨシノブは洞窟前に官舎を建てているところだった。
「あの、さっきのは誤解で・・・」
「いや、いいから、うん、それでここの運用なんだけど、基本的に無人にするつもり、でも、一応官舎は建てたから、何時でも使っていいよ。うん。」
どうやら誤解はとけてないようだった。
・・・まあ、誤解でも無いのだけど。
「さて、真面目な話をしようか、
ショウくん、今回はお疲れさま、ショウくんのお陰で日本とほぼ毎日連絡がつくようになったよ。」
「いや、僕は何も・・・」
「謙遜する必要は無いよ、君が地道に努力した結果だからね。
もっと胸を張りなよ。」
「はい!」
「うん、いい返事だね、これからも頼むよ。」
「任せてください!」
ショウはヨシノブに褒められて嬉しかった、
そして、一人前になった気分になっていた。
「さて、俺は一度基地に帰るけどショウくんはどうする?」
「僕も一度戻ります。」
「そうか、じゃあ先に基地で待っているよ。少し長居をしてしまったからね、飛行艇で先に帰るよ。」
「僕は一度マインズ王国に寄ってから帰ります。」
ヨシノブはマイとカエデを連れて先に帰っていった。
翌日、朝一で大きな船が入港してきていた。
出航前の俺達の所にササルさんが慌てたようにかけてくる。
「ヨシノブさんは?」
「昨日帰りましたよ。」
「そんな・・・」
「何かあったんですか?」
「皇太子殿下がお会いしたいと言っているんだが・・・」
「それは・・・」
ショウは一瞬、通信で呼ぶかと考えたが、通信の事を知られる事を躊躇い、言わなかった。
「なんだ、おらんのか?」
「殿下!」
ササルが膝をついたのでショウも同じようにする。
「よい、このような場所で礼は不要だ、それでこの船の持ち主はそこの少年でよいのか?」
「僕の物ではありません、預かって運用しているだけにございます。」
「そうか、なら持ち主に伝えてくれるか、この船を譲るようにとな。」
「殿下それはあまりに横暴にございます。
その方は島を救いになられたお方、その方にそのような真似をなさるのなら私も覚悟がありますぞ!」
ササルが必死に皇太子を止めようとする。
「ササル、お前がそこまで止めるとは・・・なら仕方あるまい、今の話は忘れよ、ただ、船を手放す時は連絡をくれと伝えてくれ。」
「かしこまりました。」
ショウは話は済んだとそそくさと立ち去ろうとする。
「まて、少年。その若さで船を任されておるのだろう?少し話を聞かせてくれんか?」
「話せるような武勇伝は無いのですが・・・」
「まあ、そう言うな、私としてはどれも珍しいのだ、それにこの船はマインズ王国でマルコス商会に品物を納めているのだろう?
その辺りを詳しく教えてくれないか?」
「マルコス商会?ああ、あの店はこの船の持ち主がオーナーです。」
「そうなのか?ならば帝都でも店を出さないのか?」
「どうでしょう、その判断は僕じゃなく持ち主が行いますので。」
「ふむ、ならば、そのような持ち主と是非話がしたいものだな。」
「そのように伝えておきます。」
ショウは皇太子アヴィドとお茶をしながら話をしていた。
「お前達の拠点は何処なのだ?此方から使者を出そうではないか。」
「マルドラド王国に拠点を構えておりますが、そこでは商売をしてませんので、商品が欲しいならマルコス商会に連絡ください。」
「・・・わかった。そなたの話よくわかったぞ。下がってよい。」
「はい。」
ショウは帝国皇太子との話を終え、直ぐに船に乗艦するのだった。
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