第109話 子供達
「ヨシノブさん、これは?」
子供の一人が銃を見て質問してきた。
「これは俺のいた国の武器かな?」
「これが武器?」
「見てろよ。」
俺は銃の引き金を引く。
先にある的を撃ち抜く。
「おお!」
子供達の歓声が上がる。
「これなら僕達でも・・・ヨシノブさん、サリナさんを守るために僕たちにも戦う力をください!」
「君達は戦いたいのか?」
「守る為です!もう奪われるだけの暮らしはいやなんです!
自分の居場所は自分で守ります!」
「わかった、だが守るためだぞ。」
俺は真剣な子供達に答えるために、面接して性格に問題の無さそうな子供に武器を与える。
ただ、その内の何人かは兵器の使い方を覚えだした。
ヨシノブが基地から離れている間・・・
「サリナさん、僕、溶接加工覚えたよ!」
「僕なんか金属加工できるようになったよ!」
「何お前ら抜け駆けしてるんだ、俺は射撃訓練で的の真ん中を射貫いたぜ!」
「それぐらいでいばらないのよ、私、千メートル先からヘッドショット出来るようになったのよ。」
サリナに褒めて欲しくて、新しく覚えた事を子供達は報告してくる。
「ほら、喧嘩はしない。
みんな頑張ったわね、ご褒美にゼリー食べる?」
「「「うん♪たべる~」」」
きっとこの子達は尻尾があったら全開で振っているだろう。
孤児だった子供達は家族の愛に飢えていた。
そして、いつも自分達を気にかけ、優しくしてくれていた、サリナに心を開き、今では褒めて欲しくて仕方なかった。
「サリナさんはおとうさ・・・ヨシノブさんの事が好きなの?」
まだ9歳の女の子だが、既にスナイパーの才能が開花したシモが無邪気に聞いてくる。
「そ、そうね、私は大好きよ、みんなはヨシノブさんの事好き?」
「・・・嫌いじゃないのよ。
でも、おと・・ヨシノブさん、厳しいからいやなのよ。」
言葉の節々から実際に嫌ってない事はわかる。
「ふふ、厳しくするのはみんなの為だからね、嫌いにならないでね。」
「はーい♪」
そこに三人の男の子が入ってきた、
「おかあ・・・サリナさん!俺達、戦車を運転出来るようになったよ!って、お前らはやくないか?もう来てるのか、勉強は?」
「終わったもんね、ってかお前達戦車運転出来るの?」
「ああ、三人でだけどな!」
「凄いじゃない、クルト、オットー、ヨハネス、あなた達もゼリー食べる?
食べながらもっとお話を聞かせてくれるかな?」
「「「うん♪」」」
こうして、サリナに褒められたい一心で子供達は色んな事を学んでいる、連れてきた六十名の子供は施設の運用を、
残りの四十名は近代兵器の使い方を学んでいた。
そして、寮では、団結を高めあっていた。
「おかあさんを守る為には僕たちが強くならなければならない!」
「おー!」
「おかあさんを悲しませる者はすべて排除しよう!」
「おー!」
子供達は協力しあい、基地を全て使えるように努力を積み重ねていた。
褒めて貰いたかっただけの子供達が近代兵器を使いこなす、最強の兵士へと上り詰めていくのだった。
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