第101話 話し合いに・・・

「ヨシノブくん、君にはいくつか聞きたいことがあるのだが?」

俺は海上幕僚長の山本さんから連絡をすると少し固い口調、山本さんがいた。


「え、えーと、何でしょう?」

「まず、どうやって異世界間の輸送を可能にしたのかい?」

「基地を作ったら、普通に宅配できました。」

「・・・はぁ、君は一体どうなっているのかね?」

「それは私に言われましても・・・」


「まあ、そうか、力について聞いても仕方ない事だな。

ところで政府の者が君と話したいと言ってきている。

どうか話してくれないだろうか?」

「ええ、いいですが、どなたですか?」

「内閣官房長官の星野さんだ。」

「官房長官ですか?」

「ああ、政府として話があるそうで、受けてくれないと私が困る。」

「わかりました、では来週の14時でどうでしょうか?」

「わかった、来週の14時だな調整しておく。」


そして、一週間後俺は電話をすると。

山本はすぐに星野に代わった。

「私が内閣官房長官、星野欲増だ。」

「・・・あれ、この声、先日の人ですか?」

「ふん!私の姿を知らんとは学がない奴はこれだから困る。

まあ、その話はもういい、それであのポーションとやらは入手可能なのかね?」


「・・・ええ、可能ですね。一応ランクや種類はあるようですが、ある程度までは金銭で購入出来ます。」


「それをこちらに送るように。」

「・・・何故です?」

「こちらで研究するためだ、これがあれば助かる命が増える。それぐらいもわからんのか?」

「そちらの言い分はわかりますが、それは子供達の救助と関係ないのでは?」


「黙れ、若造が!これは非常に高度な政治的話なのだ、お前は黙って用意すればいいだけだ!」

「渡せと言われてもポーションもただではありませんから無尽蔵に渡せる訳ありません。

それとも対価を支払ってくれるのですか?」


「金を要求するというのか?

浅ましい奴め!

まあいい、いくらだ言ってみろ。」


「・・・なんで浅ましいと言われてまで取引しないといけないのですか?」

「なに?」

「お断りします。

そもそも、これは救助と全く違う話です。

それならこちらにも取引相手を選ぶ権利があると思いませんか?」

「この官房長官、星野欲増がお前ごときと取引してやると言ってやってるのが気に入らないというのか!」


「はい。付き合いのない官房長官に言われた所で別に思うものもないですし。」

「ぐぬぬ・・・」

「今後このような話なら、話す相手は別にさせてもらいます。」

「・・・なに?」

「政府じゃなくても民間企業、もしくはアメリカ、イギリス・・・別の国と話してもいいと思いませんか?」

「なっ!私を脅すつもりか!」

「どうとって貰っても構いません。それでは失礼します。」

「ま、待て!待たんか!」

星野が引き止めるが俺は電話を切った。


「星野官房長官、なんて話し方をするんですか!」

「山本くん、あの失礼な奴を何とかせんか!」

「星野官房長官の話し方なら話し合いになりません、前回の事を反省出来ていないじゃないですか!」

「向こうが短気なのが悪い、そもそも、政府に対しての礼儀がなっていない。

もっと国に尽くす気にならんのか!」

「彼は異世界の人間ですよ、何で日本に尽くすのですか?」

「彼は日本人だろ?国に尽くすのは当たり前だ。」

「・・・彼は元日本人ですが、戸籍上、既に彼は死んでいますので。日本人と言っていいかどうか・・・」

「それは屁理屈ではないか。現に生きているのだからな。」


「確かにそうですが、彼は善意で子供達を保護しております、この事だけでも感謝しないといけないのに、これ以上何を望むのですか!」

「子供等どうでもいい、それよりポーションがあれば、

新医療の確立を訴えれるのだよ。

そうすれば、私が幹事長になり、ゆくゆくは総理になる道も夢ではなくなる!

山本くん、何とか用意させるように。」


「お言葉ですが、それは自衛官の職務から逸脱しております。

我々は国防には関与致しますが、政治に手出しするつもりはございません。」

「なっ!」

「星野官房長官がそのような思惑で我々を使おうとしたことは非常に問題と思います。」

「黙れ!」

「いえ、黙りません!今後、星野官房長官からの話はお断りさせていただく旨を今回の事と共に、然るべき手順で伝えさせていただきます。」

「ま、まて!それは困る!」


山本は星野の暴走を防衛大臣を通して内閣に通達する。

この事はマスコミにも漏れ、政府の失態として広く報道されてしまい、星野は責任を取って辞任するのだった。

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