第52話 マインズ王国、ヨシノブを取り込みに・・・

城にいたルクスの元にワイバーン討伐の報告が届いた。

最初は被害がなく討伐された事を喜んでいた。

しかし、詳しく聞くと喜んでばかりもいられなかった。


どうやらヨシノブが住んでいる船がいとも容易くワイバーンを撃退したようだ。

現在、病院船としても民衆に人気がある船だ。

それがワイバーンも討伐出来るとなれば・・・


ルクスはヨシノブを返したくないと考え出していた。

そう考えると行動を開始する。

まずは共に来ているルイスとの関係を調べなくてはいけない。


調査の結果、マルドラド王家は婚姻を狙っているようだが、確定まではいっていないようだった。

まあ、王女自ら兵を指揮して他国まで護衛に来ているということは、既成事実を狙っているのだろう。

だが、此方も付け入る隙はある。


ルクスは父ルーズと兄ウインに相談する。

「父上、兄上ヨシノブさんについて相談があります。」

「うむ、ワシも思うことがあったのだ、ヨシノブを我が国に取り込む事は出来ぬか?」

ルーズの元にもヨシノブの船についての報告が来ていた。これ程までに民の支持を集められると国外に行かれるのは困ってしまう。


「私もそれを思っておりました。

ただ、マルドラド王国との関係もあります故、どう動いたものかと?」

「誰かを側に送るか・・・」

ルーズは娘の誰かを送る事を考える、上手く正室を座を得れれば滞在地をこの地にすることも可能であろうと。

しかし、ウインは別の方法を示唆する。

「父上、彼の側には既に複数の女性がおられます。今さら人を出した所でもめるのは目に見えております。」

「ならば、どうしろと?」

「ルクスを船に送りましょう。」

「なに?」

「男女の色恋は寵愛の時期が過ぎれば終わってしまいます。

また、マルドラド王国の信義に反するのも名を落とすだけでしょう。

ならば、友人として関係を築き、信頼を得るのです。さすれば我等に敵対することはないかと、あとはルクスの頑張りしだいで拠点をマインズ王国に置いて貰えるよう誘導すれば良いのです。」

「ふむ、一理あるのぅ、7歳の娘リーナを派遣するよりは良い手かも知れん。

ルクスよ、どうだ?」


ルクスは考える、ヨシノブの下に入ると言うことだ、王子の自分が耐えれるのか?

自分が船に乗る未来を想像するが、意外と楽しい気がしてきた。

格式張った儀礼がなく、自分の見たこともない世界が見れるのでは?

「父上、その話お受けしたいと思います。

ただ、外に出る以上、もし、私に何か合ってもヨシノブ殿に責は求めぬ事を書面に残してもらいたいのです。」

「よし、決まりだ。ルクスよ、お前が信用する腕のたつものを集めて船に向かうが良い。」

「はっ!」


ルクスはまずヨシノブの元に向かい、船に乗せて貰えるよう頼み込む。

「ヨシノブ殿、どうか私も船に乗せて貰えませんか?」

「ルクスさんをですか?いや、乗せるのはいいですが、王子の貴方を乗せて問題が起きても責任とれませんよ?」

「それは大丈夫です。ちゃんと王の許可をとり書面にしてあります。」

ルクスは書面を渡す。


「おお、用意がいいね、わかった、部屋を用意するから、いつでも来ていいよ。」

「はい、よろしく頼み込む。」

「こちらこそ。」

俺とルクスは握手をかわした。

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