第50話 女の戦い

マイが泣き止んだ頃、俺はサリナを呼ぶ、

こんな時は女性同士の方がいいだろう。


俺は少し距離をとり、サリナに任せる。

「マイさん、こんな事をしてはダメよ。」

サリナは優しくマイを諭す。

「サリナさん、わたし・・・」


「ヨシノブさんは私のものだからね。身体で誘惑なんてしちゃダメよ?」

「・・・でも、男の人は若い子が好きって聞いたことありますよ?」

「マイさん、あなたもしかして・・・」

「それは・・・助けて貰って、優しくされたら・・・」


「まって、ダメよ。いい、私が先なの、マイさんは他を当たってくれるかな?」

「あら?私とヨシノブさんは同郷ですよ。きっと話も合うと思うんですよね。」


二人の会話は聞こえないが、仲良く話し合っているようで、俺は一安心していた。


翌日、マイを見たが、何か吹っ切れたように笑顔になっていた。


「マイ、機嫌がいいじゃない?」

カエデが最初にマイの機嫌の良さに気付く。

「そう、う~ん。そうだね、機嫌良いかも。」

「あれ?どうして、お兄さんと別れて寂しがっていると思ったのだけど?」

「うん、寂しいのには違いないのだけどね。」

話を聞いていたのかミキも話に入ってくる。


「これは恋ね!」

「ちょっと、マイが男に興味示すわけないじゃない。」

カエデは即座に否定する。


マイは小学生の頃からモテていた。

見た目は可愛いし、性格は優しく、趣味は料理でよくクッキーをクラスで配って、男の子を魅了していた。

同級生の初恋相手の半数はマイだと言う話を友達から聞いた事もある。


まあ、本人にその気はなくただ、作ったお菓子を配っただけだったのだが、その為、学校一の人気者でもあった。

そのマイが男に興味を持つとは・・・

カエデには信じれなかった。

しかし・・・


「ちょ、ちょっとミキ、そんなこと言わないでよ、恥ずかしいでしょ・・・」

マイはモジモジしながらミキを止めようとしている。

その姿にミキも驚いていた。

「カエデなに、この可愛い生き物は?」

「わ、私もそう思う、ねえ、ホントに好きな人が出来たの?」

「・・・うん。」

マイは顔を赤くして、頷く。


「ちょっと、誰よ。教えて!」

「えっ、えーと・・・ヨシノブさん。」

マイは恥ずかしそうに小さい声でヨシノブの名前を言う。


「ヨシノブさんなの!」

カエデは思わず声がでかくなる。

「ちょっと、声が大きいよ。」

マイは恥ずかしそうにカエデの口を押さえる。

「あら、マイもヨシノブさん狙い?」

しかし、ミキは冷静に答えていた。

「ミキ?」

「マイ、私とライバルだね。」

「えっ!ミキもなの!」

「うん、それはね、私も助けられたし。」

どうやらミキもヨシノブ狙いのようだ。


「ちょっと、二人で取り合いなんてしないでよ。」

カエデは二人を止める。

「大丈夫よ、この世界は側室OKなんだって。」

ミキはさらっと側室について話し出す。

「ミキはそれでいいの?」

楓はミキが側室になるのを受け入れているようで不思議に思い聞いてみる事にした。


「私は色々あるからね、それにヨシノブさんにはサリナさんとルイスさんがいるでしょ?

私が貰ってもらうなら側室しか無いと思うんだ。」

「側室か・・・その手もあるんだね。」

マイも何か納得したように言葉を飲み込んでいた。

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