第6話 昇進

出発前にスキルを確認する。

最初に見てから全く見ていなかったが、ふと思いだし、確認することにした。


曹長


おお!出世している!

二等兵だったのがこの半年で一気に曹長まで。

少し興奮を抑えれない。

そして、呼び出せる物にも変化があった。


前回はトラックぐらいしかなかった車に装甲車が追加されており、

船も呼べるようになったようだ。種類は少なく、小型の輸送船ぐらいではあったが。


そして、俺は考える、何故昇進しているのかを・・・


最初に見た時には個人装備しか無かったのだが、山賊を倒した後にバイクがあった気がする。

そして、医療トラックを見たのは屋敷についてからだった。

其処で俺は一つの仮定を立てる、トートが言っていた言葉に善行の話があった。

もしかしたら、善行をつめば昇進するのでは?


俺が考えているとサリナが呼ぶ声がする。

「あっ、すいません、すぐに行きます。」


俺は呼ばれてすぐに向かった。

「ヨシノブ殿、さあ行きましょう。」

アレクに薦められるまま、馬車に乗る。


馬車の中で話を聞くとまだ症状は軽そうだが、早く治す必要があった。

そして、結核はどうやら貴族の婦女子の間にて流行しているようだった。

サロンなどで自覚症状の無いうちに広めてしまい。各貴族は必死になって治療法を探しているのだとか。


その際、怪しげな薬に手を出すものも多くおり、重大な問題になっていると聞く。


「それは困った問題ですね。」

「うむ、しかし、ヨシノブ殿のお陰で解決しそうだ。」


「それが、私の薬は特別なのです。

私自身は調薬が出来ないのですが、特殊な力で作れているのです。

私がいるうちはいいのですが、私に何かあれば薬が無くなってしまいます。

アレク様、私の薬を研究して同じものを作れるか試して貰えないでしょうか?」


「そうだな、しかし、良いのか薬のレシピは門外不出が普通だぞ。」


「それでは多くの人が助からないではないですか。

それに私も薬だけを作り続ける生涯も嫌ですからね。」


「ヨシノブ殿、わかりました。薬を研究させて貰います。」

アレクは自身の利益より他者を助けようとするヨシノブに尊敬の念を持つ。


そんなアレクの気持ちに気付かず、俺はワクチン接種を進める方法は無いかアレクに聞いてみる事にした。

「あと、この病気を予防出来る薬があるのですが、投薬を勧める事は出来るでしょうか?」

「・・・今なんと?」

「ですから、予防する薬があるのです。

まあ、注射で腕から投与になりますが、感染の可能性を大幅に下げる事が出来ます。」


「ヨシノブ殿!是非お願いしたい!どうか協力願えますか!」

「ええ、勿論です。

貴族の皆さんに投与する前に検証も必要でしょうから、アレク様にも協力して貰いたいのです。」

「わかった。必ず行う。」

「まあ、全ては奥様とお嬢様を助けたからになりますけどね。」


馬車は一週間かけてスコール領のアレクの屋敷に着いた。

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