第2話 テンプレ・・・

俺は草原に一人立っていた。

「夢じゃないよな・・・」

俺はタメ息混じりに言葉を漏らす。


「ステータスオープン!」

異世界に来た事だし、取り敢えず言ってみる。

すると文字が浮き出て来る。


二等兵


しかし、この文字だけだった。


「なんだこれ?階級?」

すると頭に呼び出せる物が色々浮かび上がる。


浮かび上がったのは、小銃、ナイフなどの武器、

迷彩服や防寒具、

缶詰め等の戦闘糧食等、様々な個人携行装備が思い浮かんだ。

そして、それの使い方も含めてわかるようになっている。


俺は取り敢えず小銃を呼び出した。

すると目の前に小銃が現れる。

現れたのは89式5.56㎜小銃だった。


「銃が出てきたよ、マジか!」

俺は初めて触る銃に少し興奮する。

周りを少し見て、誰もいない事を確認してから木に向かい少し撃ってみた。


ダン!


木に穴が空いている。

俺は手にした銃に興奮する。

「最高だ!これなら、異世界でも生きていける!」

俺は銃を手に、冒険の旅に出るのであった・・・



そう思った事もありました。

町を探して暫く歩くと

崖の下から悲鳴が聞こえております。


どうやら山賊に馬車が襲われている。テンプレに遭遇しているのですが・・・


高さ20メートルはあろうかという崖の真下に追い詰められている、高そうな馬車。


そして、山賊に囲まれ、絶体絶命のピンチであった。

俺は崖の上から射撃を開始する。

一人、また一人と撃ち倒していく。

転移の影響か、人を殺しているのに何の罪悪感も感じる事はなかった。


最後の一人を撃ち倒した時に、山賊とは格好の違う一人の男が森から出て馬車に声をかけた。

すると馬車の中から、侍女とその主であろう、女性が出てくる。


「大丈夫ですか!」

「はい、賊は?」

「全て倒れております。」

あたかも自分が倒したかのように誇らしく語る。


「まあ、なんと勇敢な御方なのですか?

御名前をお聞きしても?」

「私は冒険者のホルンと言います。

このような素敵なレディを助けることが出来、光栄にございます。」


「そんな事はありません、私など・・・

あら、失礼しました。名乗り遅れました。私はアンナ・マクドーナル。

マクドーナル伯爵家の長女にございます。」

「なんと、領主様の御息女でございましたか。

ここで知り合えたのも何かの縁、以後お見知りおきを。」


「はい、屋敷に戻れば必ずや褒美を能えましょう。

しかし、私を守る騎士様が奴等にやられてしまいました。

ホルン様、どうか町までの護衛を御願い出来ないでしょうか?」

「おお、それならば、町まで御案内致しましょう。」

アンナはホルンに引かれつつあった。

ホルンの見た目は美しく、騎士が倒せなかった賊から自分を守ってくれた。

二人が近付くのを侍女は頭を抱えつつも止める事は出来なかった。



そして、俺は二人が仲良く話しているのを俺は崖の上から眺めていた。


俺は手柄をとられた事に怒りを覚えながらも崖の上では近付く事も出来ず。

仕方なくその場を後にした。

助けて損したなと思いながら・・・





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