第11話(R18)

 土曜日に先生と日帰りツーリングをした。そして翌日、晴れていたのでソロツーリングにどうしみちを走っていた。


 最近は、どうもソロツーリングに面白みを感じなくなっていた。ソロツーリング好きの私が、何故...。ため息が出る。


 今日は昼頃に早めの撤収。

 帰り道、いつものようにストレートを気持ちよく下ると、対向車がオーバースピードでコーナーへ突っ込みそうになった。そのスポーツカーは、体制を立て直そうとし、センターラインを大幅にカットした。対向車線をまるまる使って。

 私のバイクはスポーツカーと正面衝突した。私は何十メートルも後ろへ跳ね返えり、側溝へ突っ込んだ。

脳しんとうを起こし、私の意識は混濁した。

 次に意識を取り戻したのは、病院だった。救急車から病院へ運び込まれた時だった。

 痛い...。四肢のどこかが欠損していないか、私は救急の医師に尋ねた。大丈夫ですよ、欠損しているところはありません、ただ、骨折しているので、足の骨はすぐに手術をしましょうと言われた。


 「小林さん!」


 私の部屋は個室だった。


 事故当日の夜。

 桜井先生が病院へ私服で駆けつけてくれた。今日の先生は白いブラウスにイエローのパンツ姿だった。

 私は術後でぼーっとしていた


 酸素を吸っていて、右上腕に点滴をしていた。尿道カテーテルが入っており、右指にはパルスオキシメーターが挟まっていた。


 私には両親がいないので、電話の連絡先にあった先生が真っ先に呼ばれた。そして先生は私の保証人にもなってくれた。


 「今日は先生が後ろに乗っていなくて良かったです....。私1人で良かった..。」


 「ん...。」


 先生は優しく私の頭を撫で、髪をとかした。


 「あと、左の鎖骨が折れていて、左の第5指が剥離骨折しています。」


 「ん...。」


 「私は...、鉄砲の玉は自分には当たらないと...、どこかで...、思っていたのでしょうね。」

 

 「まだ眠そうよ。もう少し寝たらいいんじゃないかしら?」


 「寝たら先生は帰っちゃうんでしょう?」

 「当直や医局の勉強会がある日以外は来るから安心して。」


 私は目を閉じ、眠りについた。

 

 

 翌朝、私は右手でスプーンを持ち、お粥をすする。意識レベルは清明だ。


 ふと、先生の事を想う。


 私は、先生の気持ちに気づいていた。


 気づいていたにも関わらず、気づいていないフリをしていた。それは先生にとって、とても残酷な事だ。私は女性同士は未経験を良いことに、躊躇った。


 ーー私は多分、先生の事が好きなんだ。それは先生としてなのか、それとも一人の女性なのかはわからないけれども


 そうでなければ、先生が病院に駆けつけてくれて、頭を撫でてくれている時に、あんなに下半身の奥が熱を帯びたりしない。

 術後の朦朧としていた意識の中で、私は先生に欲情していたのだ。いや、朦朧としているから体は素直に反応したのだろう。


 今日は酸素チューブが外れ、パルスオキシメーターが外れ、尿道カテーテルが外れた。

 いきなり、ベッド上でリハビリだ。今は、体を衰えさせないようにと、リハビリが早いらしい。


 夕方になるとおやつが出る。今日のおやつはプリンだ。

 プリンを食べていると、


 「どうかしら、調子は。」


 と先生がカーテンから顔を出した。


 「昨日言ったことは覚えているかしら?」

 「えっ、また私、失言でも?」

 「あれだけドロドロしていれば、会話なんて覚えていないわよね。」


 何だろう?

 無意識の会話って。先生が頭を撫でてくれたのは覚えているけれども。


 私はそれよりも、言わなければいけない事がある...。


 「私は...、先生の気持ちに気づいていました...。」


 「いきなり何!?」


 先生の声は上擦っていた。


 「私はいつの間にか、ソロツーリングに面白みを感じなくなっていました。先生とツーリングしている方が楽しくなっていたんです。私は多分、先生の事が好きなんです。いや、愛しているんです。元旦那よりもずっと...。」


 しばらくの間、先生と私は見つめ合っていた。

 どちらからともなく、私達は顔を近づけた。そして、舌を絡める濃厚なキスをした。

何度も何度も、長く長く。


 「んっ...んっ、」


 声が出る。

 キスをしたまま、先生は病衣の下へ手を滑らせる。首から右の鎖骨に手を這わせ、私の胸を揉む。


 「ちょっと待っ...、んふうっ」


 今度は、病衣の間へ顔を入れ、首筋を舐め、鎖骨を舐め...。私の乳首を吸う。

 私の下半身の奥がうずく。


 先生は何かを確信したようで、私の下半身へ手を伸ばす。

 卑猥な音が病室に響く。


 「先生!あっ、ああっ、ああっ!」


 先生はそのまま、下腹部へ顔をうずめ、舌で奥を攻める。体が快楽でよじれる。


 「うああっ、先生、このままじゃ私っ...!私っ...。」

 「もう少し声を抑えて。」


 「ん-ーーーっ!!!」


 私は昇天した。


 先生に触れられたところ、舐められたところは凄く気持ち良かった...。


 「あなた意外と早いのね。こんなに早く達するなんて。」

 先生は私の病衣を整えた。


 早漏、的な感じだろうか。それとも、欲求不満だったのだろうか。いずれにしても、先生はとても上手だった。だがしかし...。


 「先生、もっと場所を選んでください。」

 

 先生は茶化した。


 「雰囲気はあったでしょう?退院したら、もっとたくさんしようかしらね。」


 私よりはやや細めで、顔の作りが整った先生は、妖艶な雰囲気で色っぽく見えた。

 


 



 

 

 



 

 

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