第4話 【大分類③】「寝取られる女性」の心境


【大分類③】「寝取られる女性」の心境


オーソドックスなNTRでは、モノ化されスルーされがちな「女性の心境」。

個人的には物語に彩りを添える、最も重要な要素のように思える。




(分類表)


★大分類①女性は「寝取られる男」(主人公)をどう思っているか。


【大①】中分類①女性は主人公のことは何とも思っていない

【大①】中分類②女性も主人公に好意を寄せている




★大分類②女性は「寝取る男」をどう思っているか。


【大②】中分類① 女性は「寝取る男」のことは何とも思っていない

『中①』小分類① 女性は『寝取る男』を何とも思っておらず、なおかつ主人公のことも何とも思っていない

『中①』小分類② 女性は『寝取る男』を何とも思っておらず、なおかつ主人公に好意がある。


【大②】中分類② 女性は「寝取る男」に好意がある

『中②』小分類① 女性は「寝取る男」のことは何とも思っていない

『中②』小分類② 女性は『寝取る男』が好きで、なおかつ主人公のことも好き




★大分類③女性はNTR後、どのような心境になるか


【大③】中分類① 女性は身も心も「寝取った男」のモノになる

【大②】中分類② 女性の心「寝取った男」のモノにならず苦しむ








※※※


【大分類・①】女性は「寝取られる男」(主人公)をどう思っているか。




【大①】『中分類・1 女性は主人公のことは何とも思っていない』


ドラマが生まれにくいパターン。

女性の主観世界では、「寝取る男」と「自分(女性)」で関係性で完結している。


「寝取る、寝取られる」の関係性が、主人公の頭の中でしか存在していないため、「寝取る男」は「寝取る男」でさえない。


果たして「寝取られる」とは何か?

という概念が問われるパターンであり哲学的とさえ思えるが、そこに主眼を置いた話を見たことがない。




【大①】『中分類・2 女性も主人公に好意を寄せている』


このパターンは、「女性は主人公が好きなのに、なぜ、寝取る男と関係性を持つのか」が重要になる。

ここでドラマを作れるところが、このパターンの楽しさだ。


ちなみサルトルは、「縛られている女が一番エロい」と言っている(と三島由紀夫が言っていた)

つまり「人間は、他者が主体性を奪われている状態に、最も性的興奮を感じる」らしい。

そう考えると「心が縛られている状態」は、かなりエロいのではないか、という知見を得た。





※※※


【大分類・②】女性は「寝取る男」をどう思っているか。


これは非常に重要。

何故なら「心が縛られている状態(女性の自由意思)」かどうかの分岐だからだ。


「寝取る男」のことは何とも思っていないのに寝取られる→エロ傾向

「寝取る男」に惹かれている→恋愛、自己葛藤傾向


にストーリーが展開しやすい。




【大②】『中分類・1 女性は「寝取る男」のことは何とも思っていない』


上述したように「女性の自由意思が制限されている状態」なので、この要因ひとつでエロ要素が加えられる。

 



【大②】『中①』(小分類・1 女性は『寝取る男』を何とも思っておらず、なおかつ主人公のことも何とも思っていない)


NTRという分野では恐らく異色。

女性の主観世界ではどちらの男とも関係性が成り立っていない。

女性主観で言えば、「自分自身の問題」として話が完結している。

男性主観で言えば、「女性が何を考えているか」がイマイチわかりづらく、「支配欲」という軸が発生しにくい。(たぶん)



【大②】『中①』(小分類・2 女性は『寝取る男』を何とも思っておらず、なおかつ主人公に好意がある。)


女性にとってはかなり酷なパターン。

個人的には女性が「聖女化」しやすいので余り好きではない。

このパターンなら、通り一遍の「縛られた女」ではなく、生の葛藤が見たい。(個人の意見です)




〇〇


【大②】『中分類・2 女性は「寝取る男」に好意がある』


「節子、それNTRちゃう。ただ振られただけや」

と突っ込みたくなるパターン。


しかし【大①ー『中①』】のように、「『寝取られた』が自己の内部の妄想に過ぎないとしても、立派なNTRである」とカテゴライズされる場合もある。




【大②】『中②』(小分類・1 女性は『寝取る男』が好きで、なおかつ主人公のことも何とも思っていない)


繰り返すが、「寝取る、寝取られる」という概念から考え直したほうがいいパターン。

でも古典の名作は、だいたいこういうものが多い気がする。(偏見)




【大②】『中②』(小分類・2 女性は『寝取る男』が好きで、なおかつ主人公のことも好き)


この場合は、「寝取る男が女性をどう思っているか」でさらに分岐する。


・「寝取る男は女性のことを何とも思っていない(モノ化)している」→キャスカパターン

・「寝取る男も女性のことが好き」→「金魚妻」パターン


後者は女性向けの恋愛ものには、比較的よく見られる。






※※※※


【大分類・③】女性はNTR後、どのような心境になるか



【大③】『中分類・1 女性は身も心も「寝取った男」のモノになる』


ドM向け、もしくはドS向け真のNTRという感じがする。


「寝取られた男(主人公)」に感情移入すれば、敗北感、裏切られた(?)屈辱、踏みにじられた悔しさを余すことなく味わえる。

「寝取る男」に感情移入すれば、優越感を味わえる。



【大③】『中分類・2 女性の心「寝取った男」のモノにならず苦しむ』


女性の中でトラウマになる未来が見える、けっこうキツイパターン。

NTRではなく、別の話に移行しそうだ。





★まとめ★


シチュエーション自体が「NTR」でも、パターンによってジャンルがガラリと変わるところがNTRの面白さだ。


「三つ勢力があると、二つの勢力間と比べて、関係性がいっきに多様になる。政治が生まれる。だから三国志は人気がある」

と以前聞いたことがあるが、NTRも同じ楽しさがある。


主要登場人物が三人いるから、関係性のパターンが無限に考えられるところに面白さがある。





★おまけ★


「魂恋 ~たまこい。」

「男娼として育てられたツンデレな男の娘と「生き神」として敬われている内気な女の子が、想いが成就するトゥルーエンドを目指す話~」


https://kakuyomu.jp/works/16816452220415301194


というNTRものを書いているので、これを題材にして考えてみる。



ちなみに


「寝取られる男」(主人公)→女性

「寝取る男」→(主人公の婚約者)男性

「寝取られる女性」→(男娼)男の娘


という「婚約者同士の男女が男の娘を取り合う」話。




今回の分類で言うと


【大分類①「寝取る男」の人物像と目的】

・女性にマジ惚れしていて、女性の心が目的。




【大分類②「寝取られる男」と「寝取られる女性」の関係性】

・「寝取られる男(主人公)」と「寝取られる女性」は夫婦、もしくは恋人同士である。

・「寝取られる男(主人公)」は寝取られることを了承済である




【大分類③ 女性の心境】

・女性は『寝取る男』を何とも思っておらず、なおかつ主人公に好意がある。


『個人的には女性が「聖女化」しやすいので余り好きではない。

このパターンなら、通り一遍の「縛られた女」ではなく、生の葛藤が見たい。(個人の意見です)』



と書いた通り、「聖女化」はせずに、「縛られた」葛藤を描いている(つもり)。



★結論


NTRはほんと奥が深い。





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「NTR」について、真剣に分類・考察してみた。 苦虫うさる @moruboru

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