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「リョウ……なんでお前」透明のアクリル板を挟んでヒサシはリョウと面会していた。


「すみません、俺てっきりヒサシさんがおとべ殺したんだと思って……怖くなって」


「たとえ俺がおとべ殺したとしても、お前がお袋殺す理由にはならないだろ」ヒサシは母親を殺された憎しみよりも、リョウが殺人者として捕まったことに申し訳なさを感じていた。


「ヒサシさん、タケルが死んだ日のこと全然知らないんすよね?」


「興味が無いからな」


「あの日、タケルはバイクで俺の家に来ようとしてたんだと思います」


「なにしにだよ」


「俺のこと、殺すつもりだったのかも」


「アイツが? お前を殺す理由があるのかよ」


「ヒサシさん、どうして昨日石原サチの名前を出したんですか」


「墓参りに来てたんだよ、石原サチが」


「来るわけないじゃないですか! アイツはタケルが死んだ前の日に死んだんですよ!」


「はぁ?」ヒサシは身震いを起こしているリョウを見つめた。嘘をついているようには、見えない。


「俺、マジでヒサシさんが怖くなったんです。あんなにタケルの事をどうでもいいって言ってたくせに、おとべを殺して、石原サチのことも調べて、タケルのために動いてんだこの人って思ったから」


「おとべはともかくとして、石原サチとタケルにどんな関係があったんだよ。まさかお前達三角関係だったのか」


「タケルは高校入って同じクラスですぐ打ち解けました。俺こんなんだからあまり馴染めなくて、でもタケルはこんな俺でも仲良くしてくれて初めて親友って呼べるやつが出来たんです。そのタケルが、違うクラスの石原サチの事を凄くよく話してきてたんです。あいつ可愛いんだよとか、意外に活発なところがあってお転婆なんだよな、とかそういう話を聞かされてるうちになんか俺も気になってきて」


「やっぱり三角関係かよ」


「俺、夏休み入ってから羽目外しすぎて、酒飲んで酔った時があったんです。公園で酔いつぶれてた時に、石原サチにばったり会ったんです、それで俺、いつの間にか石原サチを犯してたんです。その2日後に、石原サチが学校の屋上から飛び降りて死にました。あの自殺は俺のせいなんです」


「で、その自殺の原因がお前にあるとアイツが勘づいてお前を殺そうとした矢先、アイツの方が死んだわけか」志半ばの特攻隊のような、なんとも苦々しい気持ちだったのか知ったこっちゃないが、本当にアイツはリョウを殺そうとしていたのだろうか。


「昨日の晩に、リョウさんが居ないうちにおばさんに会いに行ったんです。ヒサシさんがおとべなおやを殺したんですかって聞こうと思って」


「お袋に聞かずに俺に聞きに来いよ」


「本当に、そうすればよかったんですよね」


「お袋と何があった」とヒサシが問いかけると、リョウは声を震わせ話し出した。

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