第3話 おいしいキノコ毒キノコ図鑑~異世界ファンタジーの定番~

 第三回では【おいしいキノコ毒キノコ図鑑】を紹介する。

 こちらも読んで字の如くである。


 内容はカラー写真によるキノコの紹介、そのキノコの持つ由来や逸話、特徴の説明、分布、見つかる時期や場所、大きさ、味や食感、食べられるキノコであればそれに似た毒キノコの紹介、識別に役立つ――とは言え、本書では素人のキノコの識別は推奨していないが――特徴の記載、毒キノコであれば症状等が載せられている。


 キノコは魅了的な題材である。マジックマッシュルームという言葉があるように、神秘的な魅力を秘めている。本書は情報量が豊富で非常に行き届いた図鑑である。採取物や錬金術師物を書く上で説得力を出したい、あるいはもっともらしいオリジナルの描写を入れたい時など大変重宝するだろう。


 純粋に図鑑として読んでも面白く、毒キノコの多くが意外に地味な見た目をしている事に驚く読者もいるかもしれない。筆者は驚き、絶対にキノコ狩りにはいくまいと生涯誓った。


 ここで一点本書に載っている面白いキノコを紹介しよう。【月夜茸ツキヨタケ】である。名前からしてファンタジーだが現実に存在するキノコである。見た目はヒラタケに似て――筆者にはシイタケに見えるが――最大の特徴は夜中に発光する点である。


 うーんファンタジー。ランブテロフラビンという発光物質によるもので、写真を見た感じでは蛍光塗料の発する緑色の光に近い。ただし、光量は弱く肉眼で確かめるのは少々難しいとの事。毒があり、五個~十個程食べると一時間程で中毒症状を発し、嘔吐腹痛下痢と言った典型的な症状に苦しむ事になる。症状が十日も続く事があるというから恐ろしい。


 本書には他にも魅力的なキノコが沢山載せられている。個人的に面白いと思ったのはニオウシメジで、写真を見る限り軽トラックと同じくらいの大きさがある。よく出来たミニチュアトラックである――もちろん、実際は物凄く大きなキノコである。念のため。


 重ねて本書は非常に情報量の多い、それでいて読みやすい理想的な図鑑である。創作の友は勿論、ただ図鑑を眺めるのが好きな読者諸君も大いに楽しませてくれる事だろう。そのまま異世界に出しても通用するキノコは多く、この本一冊でキノコを主題にした異世界物が書けそうな程である。是非お勧めの一冊だ。


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 この企画を始めたのには下心があり、筆者が執筆中の異世界転移物【ジ・アースヒューマンファンタジーショー! 全裸中年に優しい異世界ギャルは実在した!? ワナビ中年の俺が宇宙人に拉致られて異世界で勇者をやるそうです!】の読者を増やしたかったからである。


 ご興味のない読者の方は特に有益な情報はないので無視していただいて結構。ご興味を持っていただいた読者の方は読んで頂ければ幸いだ。内容は一風変わった導入から始まる一見するとテンプレ風の異世界転移物である。大抵の作家が自分の作品は一風変わっていると思っているだろうから、実際にそうであるかは読者の感性で確認していただきたい。


 筆者の内面が多大に反映されているかどうかは分からないが、ちょっとエッチな内容である事だけはここで触れておく。

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