第2話 世界のおつまみ図鑑~異世界感のある献立~

 第二回でご紹介するのは【世界のおつまみ図鑑】である。

 読んで字の如くと言った内容だ。


 41字で終わってしまうのは味気ないのでもう少し説明する。

 

 本書は文字通り世界の雑多なおつまみ料理がカラー写真で紹介されている。国名、料理名、写真、料理の特徴(見ただけでは分からない中身の特徴なども)、豆知識に加え、その料理に合う酒、使われている主要な食材と調味料も記載されている。


 食事シーンは見た目だけでなく味や風味、一緒に合わせる酒、口の中に広がる細かな食材の描写などを出来ると深みが増すので、上記の内容は非常に心強い。


 また、筆者の感覚的な持論になってしまうが、海外の伝統的なおつまみ料理は異世界感が強い。これは本書を実際に見てみないと体感しづらいと思うが、ぱっと見でなんか冒険者の店で出て来てもおかしくなさそう! と感じる絵的な説得力がある。


 例えばチュニジアの【ブリック】である。こちらの見た目は薄皮の揚げ餃子といった所だろう。具は料理人の好き好きで変わるが、半熟卵を入れるのは忘れてはいけない。現地ではパスタに使うデュラム小麦を使うとの事だ。


 この時点で面白い。ただの揚げ餃子が冒険者の食卓に並んだら興ざめだが、ここに半熟卵が入りブリックと名前が――海外通の読者のツッコミを回避するなら多少名前をもじった方が無難だろうか――つくだけでグッと異世界感が増す。伝統的な郷土料理なので異世界の技術力でも大丈夫だろうかという不安をなんとなく払拭してくれる。なにせ伝統料理だ。昔からあるのだろう。実際は19世紀にフランスから伝来したそうだが。


 最後に余計な一言を入れたせいで雲行きが怪しくなったのでもう一品紹介しよう。南アフリカ共和国には【ビルトン】という料理がある。ビルトンと聞いて皆さんはどんな料理を想像しただろうか。色々あるだろう。筆者は粉ミルクを想像した――似た名前の哺乳瓶用消毒薬がある。貧困な発想力を笑って頂きたい。


 正解はジャーキー、干し肉である。こちらも異世界ファンタジーとの親和性が高い。とりあえず出しておけば安心の一品である。面白いのが南アフリカ共和国ではビーフの他に豚、羊、はてはシマウマやダチョウの肉までビルトンにする事があるという。魔物の存在する世界ならドラゴンやグリフォンの肉をビルトンにしたっておかしくはない。


 そういったアイディアの種になりそう料理が本書には百種類掲載されている。筆者が個人的に面白と感じた料理は【ヤンソンさんの誘惑】である。どんな料理かは皆さんの目で確認していただきたい。人名の部分を変えて自作に流用すれば異世界酒場のメニューに華を添える一品になれるかもしれない。

 

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 この企画を始めたのには下心があり、筆者が執筆中の異世界転移物【ジ・アースヒューマンファンタジーショー! 全裸中年に優しい異世界ギャルは実在した!? ワナビ中年の俺が宇宙人に拉致られて異世界で勇者をやるそうです!】の読者を増やしたかったからである。


 ご興味のない読者の方は特に有益な情報はないので無視していただいて結構。ご興味を持っていただいた読者の方は読んで頂ければ幸いだ。内容は一風変わった導入から始まる一見するとテンプレ風の異世界転移物である。大抵の作家が自分の作品は一風変わっていると思っているだろうから、実際にそうであるかは読者の感性で確認していただきたい。


 筆者の内面が多大に反映されているかどうかは分からないが、ちょっとエッチな内容である事だけはここで触れておく。

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