第3話
場所は変わって私の神社。
「お茶と紅茶どっちがいいか…。ああ、好きな場所に座ってよいぞ」
「は、はい…」
「そう緊張せんでもよい」
「で、でも、神様の前だし…」
「神様といっても、あんまり人と差異はないのじゃ」
「それでも…」
「口調がだめとか?こっちの口調の方が神様味が薄れて話しやすくなるかい?」
「え…」
「ああ、こっちが本来の私の話し方だよ。それで、これは雰囲気作りのための喋り方じゃ。狐の神様じゃからな」
「割とフレンドリー?」
「フレンドリーじゃなかったら参拝客に加護なんて付けないよ。そうだ、君の名前は?」
「
「無月か。いい名前だね。私は
「霊好…霊好ちゃん!」
「うん。…で、聞きたい事とか、あるかい?」
「え?えーっと…さっき私を襲ってきたのは?」
「あれは…まぁ妖怪だね。知能はあまり高くないタイプだよ。本能というか…お腹を満たしたり力を得る事しかできないようなやつだ。君は霊力が強いから、狙われたんだろうね」
「霊力?」
「霊力は簡単に言えば超能力のようなものだよ。人間とか動物なら誰でも霊力を持っているけど、持っているだけで感じたり使ったりすることもできないし、霊力自体も微弱なんだ。だけど無月はその霊力がかなり強い。今まで生きて来られたのが不思議なくらいに」
「え…」
「妖怪たちからすれば無月はとても上質な餌に見えてるはずだよ。だからさっきみたいなのも寄ってきてしまう」
「あの…私以外にその霊力が強い人っているんですか?」
「いるよ。霊媒師なんかがそうだね。でも、霊媒師だとしても無月みたいに強い霊力を持っている人は極僅かだし、霊媒師は霊媒師で、妖怪たちからしたら近寄りたくない気配を持ってる。無月にはそれがないから余計近寄りやすいんだろう」
「私はどうすれば…またあんなのに襲われるなんて…」
「しばらく、私が近くにいてあげようか?」
「えっ?い、いいの…?神様が神社から離れちゃうの…」
「神社を荒らすような存在はいないし、掃除とかは知り合いに頼めば大丈夫だよ。それに、数日いなくなったくらいで廃れてたら今頃神様なんてどこにもいないよ」
「じゃあ…お願いします」
「うん。…っと。もう暗くなってるね。お母さんが心配するよ」
「あっ…そうだ、帰らないと…」
「よし。人の姿になるから少し待ってね」
狐耳と尻尾を消して人の姿になる。
この姿でなら普通の人でも私が見えるようになる。
「まずは無月のお母さんと話して家に泊めてくれるように頼まないと」
「え?」
「え?じゃないだろう。しばらく近くにいるんだから。他の人には姿が見えない神様が近くにいるより、他の人にも見える私がいた方がいいだろう?」
「それは確かに」
「ほら、早く行くよ」
外はもう真っ暗だ。
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