揺らめきと雲 (短文詩作)

春嵐

揺らめきと雲

 空。晴れているけど、わずかに雲がある。揺らめき。自分が、泣いているだけ。

 なんで泣いてるのか、よく分からない。夢を見ていたような、そんな気がする。あまり記憶はない。

 起き上がりたくない。まだ眠い。窓の外。空。晴れているけど、わずかに雲がある。わたしみたいだと、ちょっとだけ思った。


「おりゃ。起きろ。あさごはんだ」


 起こされる。

 その声で。彼に気付く。


「あなた誰?」


「俺。俺は、そうだな、誰だろうな。よくわからん」


 彼が笑う。


「どこから来たの?」


「おまえの夢の中からだよ」


「なにそれ」


 わたしも笑う。わずかな、揺らめき。あさごはんの、おいしそうな匂いがする。

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揺らめきと雲 (短文詩作) 春嵐 @aiot3110

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