第37話 最凶の刺客、現る その1
翌日の朝。
登校した俺は、授業の準備をするべく机の中に手を突っ込む。
触り慣れない感触がした。
不審に思いながら引っ張り出してみると、四つ折りにされた紙で、開いてみるとこんなことが書いてあった。
『名雲くんへ。お話があります。放課後、ファミレス「ソンブラ」まで来られたし。1人で来い。結愛っちに話した時点でお前の命はないと思え』
脅迫状めいた文章の最後には、差出人の名前があった。
桜咲瑠海。
……結愛の親友にして、最凶の兵隊である。
アイドル級に可愛らしいルックスをしていながら、俺を含めた男子へのアタリは超キツいことで有名な女子だ。
俺は思わず桜咲がいる方に視線を向けてしまう。
ベランダで結愛と楽しそうに話している桜咲が、一瞬こちらを見る。
『読んだな』
そう言いたげな、表向きはにこやかなのに邪悪にしか見えない笑みを浮かべられると、俺はゾッとするしかなかった。
この教室内で唯一、俺と結愛が単なるクラスメートではないことを察しているからか、俺に対するアタリが前々からキツかったけれど、まさか脅迫されるほど嫌われているとは思わなかった。
今日は無事に家に帰れないかもしれない。
そんな悲壮な覚悟を持って、俺は要求通り指定された場所へ行くと決めた。
なにせクラスメートだ。毎日のように顔を合わせるわけで、バックレようがない。絶対にどこかで制裁されてしまう。断る選択肢はなかった。
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