下
未来の願いは聞き届けられた。
神様は言ったのだ。
――うん、わかったよ。「一人」の人間を消す代わりに、別の人間をこの世界によこせ、でしょ? きゃははっ
未来はその時、訂正するべきだったのだろう。
その復唱された文の微妙な差異に。
結果、消えたのは「守りたかった少女」で、「自分」ではなかった。
一人の人間が消え、変わってしまった世界。
そんな世界に取り残された未来は、もうその「守りたかった少女」を守る事はできない。
あの「星の少女」に似た少女を。
未来がいつも見ていた夢は、変わってしまった世界の残滓だったのだろう。
未来はその少女を呼び戻してほしいと、神に願った。
けれど、神は首をふる。
奇跡の大盤振る舞いはできないと。
奇跡は一つの世界に生きる一人の人間が、一つしかおこせないから奇跡として成り立つのだと。
しかし、落ち込む未来に声をかける者達がいた。
それは、桐谷と円だった。
彼女達の助けを経た彼は、「守りたかった少女」を呼び戻す事に成功する。
書き換わってしまう世界で、未来たちはその事を覚えてはいられない。
けれど、未来は強く心に刻み込んだ。
今度こそ、あの少女を守って見せると。
夢の中で会う星のような少女 ―無知なる少年は、平凡な日常に花を贈った― 仲仁へび(旧:離久) @howaito3032
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