中
そんな二人の少女に導かれた未来は、それなりに充実した日々を送っていた。
しかし、彼はその日常を物足りないと感じてしまう。
それは、日々の中の何気ない場所でだ。
ガードレールの前で、カーブミラーの横で、病院の一室で、廃墟の前で、研究施設の中で、地元の山の上で、空き地になっている家の隣で。
彼はひどく違和感に襲われた。
それは、夢の中に出てくるとある少女の存在があったからだろう。
「星の少女」は未来に穏やかに語りかける。
様々な話をして、鬱屈していた頃の未来を楽しませた。
それは環境が改善した後でも変わらない。
「星の少女」は変わらずに未来の夢の中で、彼に話をし続けた。
そんな未来は不思議に思う。
どうして何度も同じ夢を見るのかと。
日常の中にある物足りなさ。
小さな違和感を感じ取っていた未来は、ある日一人の少女と出会った。
不思議な雰囲気を持ったその少女のあだ名はソニア。
神様に願えば、その違和感の正体が分かるかもしれない。
と、彼女は未来にその知識を教える。
「星の少女」の事が気になっていた未来は、ソニアの言う通りに神様に願い事をした。
神様に会えるとされた森の中で、一心に願い事をする。
そこに現れたのは、ソニアが教えた通りの存在だった。
未来はその神様に「星の少女」について教えてほしいと願った。
すると神様は、未来にとある力を授けた。
次元を貫く銃を。
銃は彼にとっては力の象徴だった。
一番最初に喧嘩を吹っ掛けられた時に、本物の銃と似たプラモデルが、自分よりもはるかに強いものを追い払ったという過去がそうしたイメージをもたらしていた。
未来はその銃を使う事にした。
そしてその次元を貫く銃は彼に真実を教えたのだった。
ガードレールの前で車に追突される少女を、カーブミラーの横で不審者に拉致される少女を、病院の一室で傷だらけになっている少女を、廃墟の前でゴミの様に打ち捨てられている少女を、研究施設の中で刃物に貫かれている少女を、地元の山の上で怪しげな集団に捕まっている少女を、空き地になっていない隣家で拘束されている少女を。。
未来は数多の世界で、ずっとその少女を助けるために頑張ってきていた。
しかし、頑張ったその果てに疲れてしまった彼は、神に願ったのだ。
自分の存在をこの世界から消す代わりに。自分よりもっと強くて頼もしくて何でもできる奴がこの世界に生まれるようにと。
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