第4話

第4話 スカートは寒い

男子の制服がうらやましい。


私はズボンが好きだ。下半身をきっちりまとって守ってくれるから。安心して履いてられる。比べてスカートが苦手だった。下半身がスースーして寒いからだ。だから、制服の無い田舎の小中学校では、怒られないので、よく黒ジャージを愛用していた。冬場はその中にセーターやタイツを履いたりして、田舎の極寒を耐え忍んだ。そんな私も、田舎には、通える高校が無かった為、町の高校に進学。したら町の高校の校則には制服着用と記されていた。念のため、女子だが、男子制服を着れないか、高校に打診してみたが「前例が無いため」ダメですと言われた。「私を前例にしてください」と頼んでみもしたが「規則なので」と断られた。仕方がないから私「美香」はJKの制服を身にまとっている。下半身がスースーするので、机と椅子に体をあわせ、体温の低下を堪えていた。だから、地味な訳ではないが、誰かの机の周りを立って囲うことが出来ない為に、女友達を作りそこねた。「寒い」ので「寂しい」どころではなかったのだが。女子と仲良くなれない分、男子に何かと話しかけられた。髪型がショートヘアで、昔から女子力低いから、気がねなく接しれたのだと思う。「美香は好きなヤツいる?」と恋バナを打ち明けられたこともある。男子が「気安く声をかけられる数少ない」女子の私は、うんうん相づち「告白すれば」とアドバイスしていた。彼の好きな子はモテるらしく、靴箱から数通のラブレターを降らせていた記憶がある。彼女は1人しかいないので、彼が「もたもたしてる」間に、彼氏を作ってしまうかもしれない。今がチャンスだと私は薦めた。「討ち死に」したら慰める約束もした。いよいよ彼が告白する日、私は弟を思う姉の気持ちで「成功」を祈っていた。なつっこい犬の様な表情で、彼は彼女に声をかけた。「長谷川由香さん」お話があります。彼の顔はそっと赤く。声をかけられた由香さんはか細い声で「はい」と二人で教室を出ていった。「ふうっ」と私がためていた息を吐く。その時、隣の席の男子が「びっくりした」と息をのんでいた。「美香じゃなくて由香かよ」慌てたと、焦っていたので、首をかしげ見つめていたら「風景化してる」お前に慣れた俺の風景を、壊されるかと思った。と両耳を赤くしながら呟いた。そして「ヤツが討ち死にしても甘やかすなよ」俺が困るからと、隣の席の男子は強く言った。




あとがき

何故?彼女は座っているのだろうと、一生懸命考えて、こんな話になりました。本人無自覚ですが、ショートヘアだし、男子の制服の着用も検討してた事より、ちょっと、男っぽいのだと思います。そんな彼女が席を外さない事が日常になった隣の席の彼もいます。

上手くいきます様に。



19.10.06.家鴨乃尾羽

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