第10話トップハーレマーワタナベ
「終わりだ! ゴッドフィンガー!!」
「くそっ! 降参だ!」
ーー僕たちは今、ハーレムバトルの公式戦に参加している。
渡邉は順調に勝ち進み、次は決勝戦だ。
ちなみに僕は二回戦敗退した。
今は渡邉の応援をしている。
「超爆乳大胸筋ーーアルティメットバストー!!」
「くっ……負けました。」
どうやらもう一試合も決着がついたようだ。
「今度こそ、僕が勝つ!」
渡邉はこの時のために自らを磨いてきた。
そう、全ては横山くんに勝つためにーー
「ーーそれではサマーハーレム2021決勝戦を開始します。両者、握手を!……始め!!」
まずは横山くんのターンだ。
「フィールドカード『失楽園』!」
失楽園の効果により、フィールドが黒い薔薇園になった。これにより病みのブラコン属性一体を生贄無しで召喚できる。
「出でよ! 赤黒の兄愛妹ーーレッドアイズブラックブラコン!!」
黒い薔薇園に包丁を持った黒髪の女の子が現れた。
失楽園の効果により攻撃力が三百上がる。
「ターンエンド!」
「僕のターン……黒い
失楽園の効果はシスコン属性にも有効だ。
渡邉も病みのシスコン属性の黒い三十路童貞を生贄無しで召喚した。
ーーブラコン属性には二種類ある。
姉タイプと妹タイプだ。
シスコン属性にも兄タイプと弟タイプがあり、黒い三十路童貞は兄タイプにあたる。
逆に妹タイプの赤黒の兄愛妹とは相性がいい。
この場合、互いの特殊効果を打ち消し合うので、純粋に攻撃力がものをいう。
「食らえ!三十路童貞の執拗な迷惑行為ーーブラックマジック!!」
「くっ!」
赤黒の兄愛妹が消滅する。
レッドアイズが倒された事により渡邉が有利になる。
ーーいいぞワタナベ!
「ターンエンドだ!」
「俺のターン! あマゾねすの戦士を召喚! あマゾねすの戦士を生贄に青白の弟愛姉ーーブルーアイズホワイトブラコンを召喚する!」
まずい! 兄タイプは姉タイプに弱い!
姉タイプに勝てるのは弟タイプのシスコンだけだ。
「行け! 超爆乳大胸筋ーーアルティメットバストー!!」
「っち!」
ワタナベの黒い三十路童貞ーーブラックマジシャンが消滅した。
状況が悪い。渡邉が弟タイプのシスコンを出す事が出来なければ負けが確定する。
「ターンエンド」
「僕のターン! クリ棒を召喚! クリ棒を生贄に僕の切り札を召喚する。出でよ! オベリスクの巨珍兵!」
「ま……まさか……神のカードだと!?」
横山くんが青ざめている。
まさか渡邉が世界に三枚しかない神のカードを持っているなんて……
「オベリスクの巨珍兵の攻撃! ブルーアイズを玉砕しろ!」
オベリスクの巨チンがブルーアイズに襲いかかる。
これでワタナベの勝ちだ!
「魔法カード発動! 貪欲な蜜壺!」
青白の弟愛姉が魅惑的に笑った。
貪欲な蜜壺は男性カードの攻撃を全て吸収してしまう。
オベリスクの巨珍兵の攻撃も吸収されてしまった。
「くくく……これは引き分けかな?」
ブルーアイズではオベリスクを倒せない。逆にオベリスクの攻撃は吸収されてしまう。
こういった場合引き分けとなり、再試合となる。
しかし、一回目に使ったカードを再度使う事は出来ない。
今回は渡邉の奇襲が成功し、良いところまでいけたが次はそうはいかないだろう。
「ふふふ、はははは!!」
渡邉が笑い出した。
頭がおかしくなったか?
「きさま! 何がおかしい!」
横山くんも怒っている。
「引き分けになんかしないよ。僕の勝ちだ!」
「なに!?」
「魔法カード、『融合』! オベリスクの巨珍兵と封印されし真ん中の足を融合させる!」
「なに!? まさか……封印されし真ん中の足だと!?」
封印されし真ん中の足ーーこれは世界に一枚しかない伝説のカードだ。神のカードにしか使う事が出来ないため、普通のハーレマーは持っていても意味はない。
しかし、渡邉は神のカードを使うハーレマーだ!
「食らえ! 怒りの業火ーーエグゾードフレイム!」
オベリスクの巨チンから怒りの業火が放出される。
青白の弟愛姉は消滅した。
ーー横山くんのマンピーはもういない。
つまり……
「……勝った」
「う……嘘だ……」
「勝者……渡邉くん!」
「ウオオオオオォォォォッッ!!」
レフェリーの宣言により会場全体から盛大な声が上がった。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
「よ!待ってたよ!」
渡邉が宮崎さんをこの前の公園に呼び出した。
「わたし、こう見えて忙しいんだけど……用件はなに?」
宮崎さんはなぜ呼ばれたかまだ知らない。
「ほいっ!」
渡邉が札束を宮崎さんに放り投げた。
ハーレムバトルの優勝者には賞金百万が贈呈される。
「ち、ちょっと! て、これ……」
「そ! 約束の百万だよ。確かに渡したからな!」
「え!? あれは冗談じゃなかったの!?」
宮崎さんも大金にどうしていいかわからないようだ。
「冗談であんなこと、言えるかよ!」
「なに? あんた、わたしの身体が目あて?」
「ふっ、キミこそ冗談はよしてくれよ。」
渡邉は興味が無いとばかりに首を振る
「わたしの身体が汚れてるから?」
宮崎さんが悲しそうな顔をする。
「そんなわけ無いだろ! そう思ってたら、百万なんて用意するかよ!」
「……あのね、言っとくけどわたし、本番はまだしてないから! 純潔のままよ!」
マジか……処女の援交女子って、アリ?
渡邉の方を見ると、両手を水平に上げていた。
セーフってことか。
「そうか……ちゃんと好きな人のために処女はとっておけよ? じゃ。」
そう言うと渡邉は手を上げて挨拶し帰ろうと歩き出した。
「ワタナベ!!」
宮崎さんが叫びながら走り出す。
「ん?」
「ちゅっ」
渡邉が振り向くと、宮崎さんは渡邉のほっぺにキスした。
「あんたにだけは、絶対にあげないから!」
そう言うと宮崎さんは走って帰ってしまった。
なんだこれ……渡邉のラブコメかよ!
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