第3話大水さんと宮崎さん

「一緒に帰ろ!ミズミズ!!」

放課後に友達の宮崎さんに声をかけられた。


「うん、いいよー。帰りにTATUYAよっていい?」


「全然いいよ! ちょうど参考書みたかったんだー!!」

ミヤっちはいつも元気いっぱいだ。


あっ! わたしの名前言ってない!!


わたしは大水 聖子

ミヤっちにはミズっちとか、ミズミズって呼ばれてます。

え? 何であだ名が名字なのか気になる?

それはわたしがミヤっちに頼んだから。

むかしクラスの男子にイジワルなこと言われたの。


※※※※※※※※※※※※※※※※※


「大ちゃん、大ちゃん!大水さんの下の名前、セイシって言うみたいだよ。」


「え!? そんなまさか……あり得ないよ!」


「ほら、クラスの連絡簿見てみなよ。」


「えーと……あ、ほんとだ!セイシだ!!」


「ちょっと大ちゃん、みんなに聞こえるよ!」


※※※※※※※※※※※※※※※※


誰かわからないけど男子がわたしのこと噂してた。

だからなるべくわたしの名前が目立たないようにしてるの。


「ん-、いいの見つからないな-。」

わたしが探してるのはニガテな数学の問題集だ。




「ミズっちはどんなのが良いの?」


「えっとね、わかりやすくて分厚くないやつ」


「え……ここにあるのより簡単な問題集なんて、たぶんどこにもないよ……?」


「えー……じゃあいらないかも。どーせとけないし。」


「ミズっち大丈夫? 受験まで半年くらいしかないよ?」


「うーん……どうにかなるんじゃない?」


「ならないよ! 勉強しなさい!!」


「えー、やだよー。あれ?」

クラスの男子がいる。

松本くんと渡邉くんだ。


「ん? どした?」


「ん-ん。なんでもない、かえろ!」


「あ、まってよー!」




『大ちゃんはやく帰ろうよ-』


『うろさいなー、一人で帰れば!』


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