29.出し物の決定

次の日、授業が終わり、HRの時間が来る。みんながそわそわしている。特に男子。


 「はい。じゃあ、昨日の続きをするよー、一応昨日は第一候補は飲食系のメイド喫茶で、第二候補は出し物系のお化け屋敷でしたが、もう一度多数決を取りたいと思いまーす。じゃあ、メイド喫茶の人、挙手ー」


 男子が全員無言で、手をスッとあげる。この時点で、クラスの過半数が過ぎた。


「ということで、メイド喫茶にしたいんだけど、女子は大丈夫?嫌な人がいれば、手をあげて欲しいんだけど……みんな大丈夫そうかな」


 誰も声をあげないので、そのままメイド喫茶に仮決定した。


「じゃあ、とりあえずメイド喫茶で考えていきましょー。提出してから抽選なので、抽選から漏れたら二番のお化け屋敷になるから気をつけてねー。衣装とかは予算内では難しいから、ツテがある人は後で教えてー。なかったら普通の喫茶店だからねー」


「よかったの?」

「それはこっちのセリフだよ、だって私は着ないんだし…」


 ふと、視線を感じ、振り返る。全員がこちらを見ていた。ちょっと怖い。


「えっと、みんなどうしたの?」

「櫻井さんが着ないって言うからつい…」

「えっ、だって私が着てもしょうがないでしょ?」

「俺は櫻井さんに着てほしいです」


 俺も、俺もと、男子たちから声が上がる。


「えっと、別に着てもいいんだけど、このクラスで、どのくらいの人が料理できるの?」


 疑問に思っていたことを声に出して言うと、みんなが目を背ける。僕?僕は料理ができるよ。おばあちゃんに迷惑をかけたくなかったから、一番最初に頑張った。


「話題にも出たことで、出す料理などの候補を出してほしいんだけど、何かある?」

「料理の場所が確保が難しいなら、クッキーとか、作って置いとけるものを出すのはいいんじゃないかな?」

「さっすがー、紗夜ちゃん、他にはー」


 他か、どういうのがいいのだろうか?


「火が使えるなら、パンケーキとかなら、メイドさんが持っていって、チョコソースとかで、お絵描きできると思う」

「なるほど、なるほど」

「メイン料理なら、みんなオムライスとか言うんだろうけど、学校でやるなら難しいと思う。接客を売りに出すのなら、おにぎりとか、カレーとかの方が効率はいいと思う。あとは飲み物に合わせて考えるって言うのもありかな」

「「おおー」」


 クラス中から声が上がる。でも自分で思いつくのはこれくらいかな。


「ちなみに紗夜ちゃん以外で料理できる人は?」

「お母さんの手伝いくらいならしたことあるけど…」

「私もー、それくらいしかしてないかな?」

「なら、作り置きできるものを作っておいて、メインはパンケーキにしたら、練習したら大丈夫かな?」

「パンケーキくらいなら少し、練習すれば大丈夫だと思う。タネを最初にまとめて作っておけば時間の短縮にもなると思うし」

「じゃあ、そうしようか。何か他に案があれば要検討ってことで」


こうして、メイド喫茶の料理の案も大体決まっていった。けれど、結局、僕の衣装は何になるんだろう。

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