22.チーム分け

 テストも終わり、次の日には成績が張り出される。


「…また負けた」

「どうしたの冬花?」


 僕は今回も一位を取れた。冬花も二位だし、好成績なのに、なんでショックを受けているんだろう?

 そんな冬花は置いておいて、さやかの方を見る。


「よかったー」


 まさかの十五位だった。勉強が嫌いなのに、この順位はすごいんじゃないかな。


「すごいね、さやか。驚いたよ」

「やればできるんだから、最初からやりなさいよ」

「勉強はいやー!…だけど、二人と一緒にいられなくなるのは嫌だから…」


 さやかにそう言ってもらえて嬉しいが、あれが冬花と遙さんの嘘だと知っているため、罪悪感の方が強い。


「さやか、あのね…」

「ほら、席につけー、ホームルームを始めるぞ」

「紗夜ちゃん、何か言った?」

「ううん。なんでもないよ」


 さやかに伝えることはできなかったが、先生が来たので、大人しく教室に向かう。

 教室に着くと、先生は体育祭の競技の名前を書き出した。50m走、リレー、障害物競走に借り物競走、玉入れ、綱引き、二人三脚などもある。

競技の名前を見ながら、自分が参加できそうな競技を探す。

 僕は男だから、女子の競技に参加するわけにはいかない。

 なら、玉入れと借り物競走かな。二つに手を挙げていれば、どちらかには入るだろう。外れたらどうしようか…


 話は着々と進み、私は両とも希望通りになった。なぜか私が立候補したものは希望者が減ることになった。

 もしかして、私のこと、みんなに気づかれてる?


 そんな分けないか。


 まあ、希望通りになったし、この競技なら男女混合なので、僕が参加しても大丈夫だろう。さやかはリレーや50m走に選ばれており、冬花もリレーに参加するみたい。


「紗夜ちゃんもリレーに立候補すれば良かったのに」

「私はちょっと…あれだから」

「さやか、紗夜に無理を言ってはダメよ」

「ああっ、そっか、ごめんね、紗夜ちゃん、すっかり忘れてたよー」

「…忘れること?」

「まあまあ、そういえば冬花は借り物競争は一緒だね」

「ええ、他にやりたいものもなかったしね。楽そうだしね」


 それからは各自で練習が始まり、さやかや冬花と一緒にいられる時間が少なくなって、少し寂しい。

 それでも、二人が活躍する場面を見ることができることは少し楽しみだ。


 …そう思っていたのに…


 どうして僕だけが白組なのだろうか。クラスで分ければいいのに。なんでそのクラスから色分けをするのかな!

 一人で悲しんでいると二人から、話しかけられる。


「紗夜ちゃん、負けないよー」

「色分けでそこまでならなくても…」

「…別に私は勝負内容はどうでもいいんだけど…」


 二人と一緒にいられれば、勝ち負けなんてどうだって…


「そう言うことをさらっと言わないでよ」

「紗夜ちゃん、敵チームだけど、一緒にご飯も食べようねー」


 顔を背ける冬花と、抱きついてくるさやかにまたやってしまったと思う。

 どうして口に出してしまうかな。


 まあ、ご飯の約束もしたし、よしとするかな。


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