13.夏休みの予定
さやかと九条さんに私のことを話してからはあまり何も進んでいない。
まあ、ゆっくり進んでいこうと思っている。ただ、人との関わり方は変えようと思っている。
二人が私を認めてくれたように、私も私自身を認めていきたいと思う。
月日が経ち、期末テストが終わった。
「終わったー」
隣でさやかが顔を机に埋めている。中間の時にも見た光景だ。
そう考えているとその体勢のままこっちを見たさやかと目が合い、笑ってしまう。
「紗夜ちゃん、どうしたの?」
急に笑い出した私を不審に感じたのか首を傾げながら声をかけてくる。
「ふふっ、いや、前にも同じことをさやかがしていたなって思ったらおかしくなっちゃって。ごめんね」
「そうだっけ?」
前にもしたかなーとさやかは呟いている。
「そういえば、紗夜ちゃんは夏休みの予定はあるの?」
「別にないよ。ずっと家にいるかな」
「なら、夏休みの何日かトーカちゃんも誘って一緒に遊ぼー」
さやかに私のことを話してからも以前のように誘ってくれるのは嬉しく感じる。けれど、それでいいのだろうか?
私と彼女たちは性別が違うのだから。私と一緒にいれば、彼女たちの迷惑になるのではないだろうか。
そんな不安を感じていると、後ろから頬を引っ張られる。
「また、何か変なことを考えていたでしょう?」
九条さんは私の考えることがわかるのだろうか?
「ええー、何を考えていたの、紗夜ちゃん?」
「いひゃ、べひゅににゃにもかんがえてにゃいよ」
頬を引っ張られているので、うまく言葉が出せない。
「多分、私たちと休日まで一緒に遊ぶことに不安を感じたんでしょう」
体が無意識にビクつく。
「当たりみたいだねー」
「私たちはあなたと遊びたいと思っているの。だから、細かいことは気にしなくていいの、わかった?」
本当にそれでいいのだろうか?
わからないながらも頷く。
「なんで考えていることがわかったの」
つねられた頬をさすりながら、九条さんをジト目で睨む。
「なんとなくよ」
そう返されてしまい、もう九条さんは答える気はないみたい。理不尽だ。
「まあ、そんな急には変われないでしょう。で、さやかは集まって何をするつもりなの?」
「もちろん!宿題を一緒にやろー」
「はい、解散、櫻井さん途中まで帰りましょう」
「いーやー、待って、ごめんなさい、ゲームとか海に行くとか色々やりたいの!」
「えっと、ごめんね、海は無理かな。ゲームも前にしたのが初めてだし」
「じゃあ、ゲームをみんなで一緒にしたい!ついでにトーカちゃんの家にも行きたい!紗夜ちゃんの家でティアちゃんとも遊びたい」
「はあ、願望が漏れているわよ、さやか」
「はっ、しまった」
「私の家には来てもいいけど、みんなでできるようなゲームはないわよ」
「それでも、他の人の家に行きたいの!目標!夏休みの間に3人の家に一回は行くこと!」
ちゃっかりと私の家もいれられている。けれど、楽しい。
「そうだね。ティアも喜ぶと思うよ」
「櫻井さんは受け入れが早すぎよ」
「決定!じゃあ、詳細は後でメッセージでやりとりしようねー」
今年の夏休みは初めて楽しくなりそうだ。
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