第三章 魔王編

第20話魔王の誕生

この世界には、様々なモンスターがいる。なじみ深い豚や、牛、ゴブリン、オーク、デビル、ベア、果てはドラゴンまで。ドラゴンは、、、彼らはモンスターといわれるのを嫌がるが、モンスターと分類してもいいだろう。その中で、周期的に「魔王」と呼ばれ、恐れられ、崇拝される。そんな存在が時々、現れることがある。そして今、その「魔王」が誕生しようとしていた。


ゴブリンの集落

ここの村は人間の国との境が近い。だから、ある程度人間と仲良くしているはずだった。というか、ここ50年くらい本当にうまくやっていたのだ。もちろん、過去形ということは今現在トラブルが起きているわけだが。

「ゴブリンたちは殺せ!!!!魔王軍として、参加されるのは困る!!!」

「どうしてだ!!!ここで仲良くやってきたはず。」

村長がリーダー格の男と戦っている。戦っているという表現は正しくないかもしれない。なぜなら、痛めつけられている、しかも一方的に。

「すいませんねえ。ギルドとして、ゴブリン討伐を命じられたのを無視できるわけないんですよ。報酬も良かったですしね。」

その男は、そういいながら小柄な体で村長を殺していた。

「ゴブリンは全員殺したか???」

その声が聞こえる中で。自分は、死体の中で死んだふりをしているだけだった。

「引き上げるぞ!!!」


「ほ、ほかに生きてる人は????あ、お母さん!!!!起きて!!起きてよ!!!お母さん!!!!」

亡骸を抱えて、そのゴブリンは泣き続けたという。


メイの町での奴隷の反抗はもう終わったようだった。

「家を買おう!!!!」

「え、家ですか。」

そう、家だ。人々の心と体の安息地。安全地帯。そういうものに興味がある、

「お金はもう持っている。家があれば、いろんなこともできる(らしい)。買わない理由がないだろう?」

「それはそうなんですが、、なんか急ですね。」

「いろいろあって疲れたからな。」

一か月ぐらい何もしたくない。

「じゃあ、探しに行きましょうか。」


一軒目~

「ここは、広くて安いのがおすすめですね。」

「町から遠い。却下。次。」

レイの判断が速い。

「レオに似てきたんじゃないか?」

「え?俺こんな感じ?」

「もっとひどいかも。」


二軒目~

「ここは~街に近いのが長所で。」

「狭いな。」

「ですね。」

「だよなあ~。」


三軒目~

「高い。」

「高いですね。」

「ちょっと高いかなー。」


四軒目~

そろそろ、不動産会社の人の目がギラギラしてきた。次、変なことを言ったらぶん殴られそうだ。まあ、俺たちはお客様だし。

「長所は説明しないのか?」

鈍感なレイがナチュラルに煽っていく。

「ちょ、長所ですか?ここの長所なんか、、町からはびみょうに遠いですし、微妙に狭いですし、微妙に高いですし。」

そんなおすすめできない物件を俺たちに紹介するなよ、と思ってしまった。これ以上喧嘩を売ってもどうにもならないので口を防いだが。だが、、中を見てみたらなかなかにいい気がしてきた。

「これ、買わない?」

「そうですよね。ここ、僕もいいと思います。」

「じゃあ、買いで。」

エーみたいな顔をしてんじゃねえよ。買うんだから、もっと喜んでもいいんだぞ。


さて、念願のマイホームみたいなのを願ってから数十分で手に入れたわけだが。果たして、何をしようか。

「もちろん、冷蔵庫を買って食べ物を常駐させとくよな?」

食いしん坊なマーカス。

「この部屋はもらいましたよ。甲冑部屋にします!!!!武具を飾るんです!!!!!」

と、一番でかい部屋をさりげなく持ってこうとするレイ。

「わかった、わかった。じゃあ、今日一日使って部屋の内装を整えよう。おれはそこの部屋をもらうからな。」


市場に出てから考える。俺は生まれてこの方、家に住んだことがないということに。家で、、何をすればいいのだろうか。ご飯を作る?いや、飯屋でいいだろう。泊まる、、だけならホテルでいいな。チェックインしなくていい・・・別にそんなにメリットはないよ。うーん、わからん。


結局、買ってきたのは本と本棚だった。多分、自分は本が好きだ。本を触ると落ち着く。こういう気持ちを、好きというのだろう。


家に帰ったら、。そういう行為も初めてだったが、帰るところがあるというのは不思議と安心感と、早く帰りたいという焦燥感にかられる。そうだ、あれを言わないと。

「ただいま。」

普通の人は、家に帰った時にこういうことを言うそうだ。マーカスに教えてもらった。

「お帰り。」

そういってほほ笑むマーカスとの距離がものすごく縮まった気がした。


「ただいま帰りましたー。」

床に寝っ転がって本を読んでいた時に、レイは帰ってきた。

「「お帰りー。」」

うん、いい響きかも。

「あーやっぱり。二人とも、床にカーペットを敷くということを知らないんですね。ほらほら、どいてください。」

シュルシュルと、床に布が敷かれていく。

「おー!家っぽい。」

「ほらほら、部屋にもひきますよ。」


あ、ベッド買うの忘れたな。そんなつぶやきがレイから聞こえてきた。

「明日でいいか。おやすみなさい。」

「お休み。」

「お休みー。」

カーペットに直接つけた布団での就寝がいままでになく気持ちよかった。


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日常会、、ですね。今まで、こういうのをやってこなかったんですがよかったでしょうか?コメントで教えてくださいね。







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