第18話ドラゴン
起きたら草原だった。文字通りの。視界が緑すぎて痛い。
「ここ、どこだよ。」
「おお、起きましたか。今、僕たちは伝説にいるんですよ!!」
「伝説??頭でも打ったのか?」
「こほん、実はここ、ドラゴンの村、です。」
ドラゴンのむら、、、、
「?」
「マーカスさんも同じような反応してましたけど。もしかして、ドラゴンと勇者の話知らないんですか???」
知らない。そういう系の常識は何も知らない。
「小さい頃にお母さんに読み聞かせされてないんですか????」
されてねえよ。残念ながらな。
「二人の出自はなかなかに謎ですよねえ。」
俺たちも詳しくは知らねえな。
さて、ドラゴンの村である。名前はそのままだった。まず、スケールが違う。デカい、デカい、デカい!!!!!巨人のようなサイズのドラゴンが歩き回っているのだが当たり前だが。
「こんにちは~人間さん。」
加えて、ドラゴンたちは僕たちに関して非常にフレンドリーである。百年前から変わらないかのように。
「人間の近くに住んでたかわりもの以外は、約百年前のことを知らない奴がおおい。ある意味、平和ボケしているんだ。」
俺たちを乗せて行ったドラゴンが教えてくれた。
人間の近くに住んでた変わり者、、、ね。言葉の主を見つめた。
「なんだ????」
「名前はないのか????」
「ルーカスとでも。」
その村から外れたところに、俺たちはやってきていた。
「じゃあ、鉄砲を撃ってくれるか?俺の体に向かって。」
そう言うルーカス。
「え、、、もう?」
危ない気がするんだが。
「大丈夫だ。俺の体は固い。」
鉄砲に火薬を込める。
「じゃ、じゃあ打つぞ。」
目をつぶって、引き金を引く。パーン!!!!!鈍い音が鳴り響く。
「うぐ!!!!!」
覚悟をして目を開ける。
「確かに、、、これを対策していなかったらまずかったかもな。」
ドラゴンの腹は、見事にうろこがはがれ、赤い血が一筋ツーと流れていた。ダメージは入っている?のか。あの場面でドラゴンに向けて撃たなくてよかった。
「これが何発も打たれるとなると、、、、死を覚悟しなくてはいかなかったかもな。」
アハハ。20発ぐらいかもな。
「ドラゴンのうろこは剥がれるたびに強くなるからな。今日は、これでいいぞ。」
「あ、はい。」
ドラゴンの村で遊び歩こうとも思ったが、外に出たらすぐに目の悪いドラゴンに踏み潰されそうになったのでやめた。ただ、泊まらせてもらった宿で興味深い地図を見つけた。
「これは、、、地図、だよな。俺たちはどこにいるんだ???」
「ここだよ。ここ。」
森の中心部をドラゴンが指さす。地図の中では、ドラゴンの村から俺たちが言ってた町までずいぶん距離があるように見える。
「この地図間違ってないか??」
「いや。実際俺たちは三日間ずっとドラゴンの背中に乗っていたぞ。レオがずっと寝ていただけで。」
告げられる衝撃の事実。じゃあ、帰るときも三日間乗らないといけないのかよ。
だが、其れよりも衝撃だったのが。俺たちの国の地図では乗っていない、そんな土地がたくさんあったことだ。
「この世界には、こんなにも多くの国があるのか。信じられないな。」
「ドラゴンは色んなところに飛んでいけるからし、長命だからね。そら、人間よりかはいろんなところを知っているさ。」
生きている間に、いろんなところを回りたいな。
その夜、レイは星空をみたくなったといって、外に出ていた。なんでも、ほかの星が見れるらしい。
「なあ、レオ。」
そう話しかけてきたマーカスは、いつになく真剣な顔をしていた。
「今まで、本当にいろいろありすぎて聞けなかったが、あの言葉はどういう意味だ???」
「あの言葉、、、、、ああ。奴隷についての。」
「そうだ、奴隷が生き生きといきれる世界を作るとかなんとか。そういっただろ?」
言ったな。あの瞬間は忘れられないだろう。
「それは、、、、どういう意味って。そのままだよ。奴隷達と、あそこにいた憲兵。そして、今までにあった奴隷以外の身分のやつ。」
ここで、一呼吸置く。今までの思いがこみ上げてくる。
「本当に、、本当に。違いがあるように見えるか?あるのは、人間としての器としての違いでも、身体や頭脳の優劣の違いでもない。身分の違いだけだよ。結局、あいつらが作った違いしかないのに、奴隷が、奴隷だけが、ひどくて惨い扱いをされるのは納得がいかないだけだ。」
マーカスは俺の思いを、じっとおれの目を真っ直ぐと見据えて聞いていた。
「それはそうだ。だが、それは俺たちがやらなければいけないことか?メイのところでのこともあったし、俺たちがゆっくりと暮らしている間に、周りが変わっていくんじゃないか?」
「そうだな。それでもいい。いや、つまるところ俺の目標は、おれが死ぬ前に世の中の奴隷達みんなが笑って、幸せに暮らしている世の中がなってればいいということだ。別に、俺自身が手を下さなくてもいい。ただ、、、平均的な人間の寿命は40歳だ。おれたちは、、十代後半。時間があるかは、わからない。」
そして、マーカスは覚悟を決めたように俺に聞いた。
「それはつまり、周りの世界がそうならなければ、、、、自分でどうにかしてしまう
かもしれない、ということか?」
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