第17話現実問題
「レオさん!!!行きますよ!!!」
「ああ!!行こう。」
「レオ、、、まあそれでいいか。」
刹那、俺はレイと行くことを決めた。今奴隷たちに加わっても、あまりいいことが起きそうにない。
メイは、女の奴隷達3人を相手取って互角に戦っていた。想像していたより、彼女は逞しいようだ。
「あ、お兄様。」
かわいらしい声と、無骨に腕と足の周りに盛り上がった筋肉がミスマッチである。
「メイ!!!」
すぐさま、レイがとびかかって加勢する。奴隷たちはすぐに倒れることとなった。
そのすぐ横を通って、奴隷たちは一直線に先頭へと向かう。
「先頭に何かいるのか????」
一直線に戦闘に飛んできた俺たちは、先頭を見つけた。アイツが奴隷を扇動している。しかし、かなりまずい状況である。奴隷たちは、憲兵の詰め所まで迫ってきている。もちろん、憲兵たちも無抵抗でいるわけではない。必死に戦ってはいるのだが、、、数の力のほうが強いだろう。そして、、、奴隷たちは冒険者たちが飲んでいた黄色の粉末を飲んでいた。体格が二
回りほど違う。
「あれが、、私が言った違法薬物です。あれを飲んでも別に強くなるわけではないのに、、、」
ここで、一番有効な作戦はなんだろう。正面切って戦ってもこの人数では大した意味はない。先頭を切って戦っている奴をやれば、、、、、そこまでたどり着ける保証はないか。
「ここは、撤退して援軍が来るのを待った方が、、、、ここを盛り返すのはもうむりだろ。」
「そうですね、、、、メイ!!!撤退はできないか???」
「できるわけないでしょ???こちとら、市民の安全と、財産を預かっとるんじゃい。」
鬼のような形相でもちろん、反対された。
「だけど、、、、」
マーカスも俺と同じ意見らしいし。
「大丈夫よ。王都軍、つまりこの国の最高戦力たちは緊急事態があれば、鬼のような速さでかけてくるって噂だし。三日もあればなんとかなるはずだわ。」
この状態から、三日も耐えるのは無理だと思うんだが。
もう何時間たっただろうか。拳は、もう割れそうに痛んでいるがそんなものは気にならなくなってきた。それよりも、無限ともいえそうな奴隷が怖い。女子供構わず殴ってしまっている自分が怖い。結局、やってることが憲兵と同じかもしれないことが怖い。飯を十分与えられてないために、弱弱しい奴隷一人一人殴って、そいつが倒れていくたびに、自分の何かが壊れていくような気がして怖い。それでも、横にいて容赦なく殴っているマーカスと一緒に戦う。
「どうも、お困りかな。」
気付いたら、ドラゴンがいた。知り合いの。というか、敵だった。
「なんでここにいるんですかね。」
どうにかして声を絞り出す。そういえば、周りに奴隷はいなくなっていた。
「鉄砲はお前が打つんだろう、そういったじゃないか???」
あ、そういうこと言いましたね。
「準備ができたから、呼びにきた。それだけだ。」
お取込み中なんですかね。だが、其れのおかげで周りに奴隷がいなくなって休める。
「おい!!!早く乗れ!!!!」
背中をドラゴンが私に見せるようにする。
「え?いま?見ての通りお取込み中なんだけど。」
「私は待たされるのが嫌いなのだ。早くしないと焼いてしまうぞ。」
本気で言ってる眼なのが怖い。
「わかった、わかったから。マーカス、レイ!!!行くぞ!!!!」
「え、、今か。」
「今ですか????」
しょうがねえだろう。俺たちが行かなかったら、このドラゴン、奴隷達よりも先にこの町を焼野原にしかねねえだろ。ドラゴンがいたから、奴隷たちは撤退して余裕がありそうだし。
「早く乗れ!!!時間がもったいないだろう!!!」
はいはい。最初に俺、次にマーカス、最後にレイが名残惜しそうに、じゃない心配そうに乗る。
「じゃあ、飛んでいこう、、とはいかないようだな。」
「ん?」
ドラゴンが目を細めて、空を見つめている。俺が目を細めても見えん。だが、近づいてくる。バサバサという音が。そして、見えてくる。鷹たちに乗った騎士たち四人が。
「奴隷の反乱、といった報告だったが、、どういうことだ。なぜドラゴンがいる。なぜ人が乗っている。」
「肝心の奴隷たちは町でまだ暴れているようだが、、、憲兵たちは何をしていたんだ。情けない。」
「ドラゴンはここで叩かなくては。」
四人の意志が一致したようだ。軽やかにドラゴンにとびかかってくる。
「あれが四人はめんどくさいな。逃げるか。お前ら三人とも、ちょっと荒くなるが振り落とされるなよ。」
「「「え。」」」
瞬間、ドラゴンによる俺たち三人へのフライトが始まった。地面がどんどん遠くなる。
「おお!!!ドラゴンに乗ることができる機会ができるなんて!!!」
「すごいな!!!」
ドラゴンはそれに調子をよくしたようでどんどんと速度を上げていく。
「ち、速度的に追いつけないか???」
「だが、ドラゴンにも限界はあるはずだ。追い続ければいい。」
そんな声が聞こえて、地球がひっくり返ってから俺の意識が完全にとんだ。
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