第15話誇りと敬意と
「マーカス!!!!!」
「マーカスさん!!!」
かぎ爪にとらわれたマーカスが苦しそうにもがいていた。そして、無造作にドラゴンの爪が閉まっていく。
「まずいまずいまずい。」
しかし、頭の中の思考が止まったまま、動いていない。どうやって助けだせばいいのだ?あの状況から。
「ちょ、ちょっと待てドラゴン。」
気付いたら、口は勝手に動いていた。少しだけ、マーカスへのかぎ爪の締め付けが弱まった様に見える。
「ええっと、、、取引をしないか?????」
よく考えればこの時、この言葉が口を出たのは不思議だった。何故か、自分はこの時これが一番良いと思ったのだ。取引できるようなものもないのに。
「取引、、、、か。いやな響きだ。人間と取引はもうしたくない。」
再度、マーカスが締め付けられる。
「100年前、起こったことを俺は知っている。」
もちろん、俺が知っているわけはない。はったりである。
しかし、ドラゴンの顔がこっちに向いてくることを意識する。
「なおさら、生かしておけなくなったぞ。」
ドラゴンの、目の中の炎が燃えていた。
「知っているというのは、人間の卑劣さもだよ。ドラゴン。」
そして、銃を出す。ドラゴンを打つ、、、わけではなく。横の、壁に向かって。とてつもない音が鳴り響く。
「この武器をお前は見たことがないだろう。」
確か、ドラゴン討伐は冒険者しか参加したことがないはずだ。
「人間との戦いをするならば、こんなものは当たり前のように出てくるぞ。」
眉が少し上下に動く。
「しかし、お前を殺して手に入れることもできるだろう。」
それはそうだ。だが、、、
「俺たちを殺したら、だれがこの鉄砲を撃つんだ???お前らだと大きすぎて、打てないだろ?????」
そして、、ドラゴンは大きな声で笑った。
「自分たちがそうなるというのか。面白い。だが、それも一人いればいい話だ。」
今度は、こっちが口をつぐむ場面だった。返しが思いつかない、、、顔が真っ赤になっていくのを感じる。
「はっはっははははは。まあ、いいだろう。お前たち3人は見逃してやる。ここに、鉄砲を置いていけ。」
そういって、俺たちはそそくさと出ていったのだ。
「正直、死んだかと思ってたよ。」
後に。マーカスは語った。
「レオさんがいなかったら死んでましたよ。」
そして、レオ達は始まりの町へと、また戻ることと相成った。
なぜここに帰ってきたかというと、ある人と顔を合わせづらかったからである。具体的に言うと、コータスと。というか、合わせたくない。そして、この町のギルドでは、俺たちはドラゴン討伐から生きて帰ってきたパーティーとして一役有名になっていた。
「坊っちゃんたち、やるな。見直したぜ。」
「やっぱり、実力あったんだな。」
「何もんなんだ?」
そして、
「現金なものですね、人間なんて。」
これはそういうことを言いながら、にっこり笑って格好をつけようとポーズを模索しているレイ。何も言わずに、横で飯をどかグイしているマーカス。このパーティーのお決まりの日常がそこにあった。そして、えてしてそれはイレギュラーにぶっ壊されるもので。
そのギルドの戸をがばっと開けるものが現れた。そいつは、、、レイの容姿端麗な
外見と瓜二つで。とても可憐な一人の少女であった。
「アルバートお兄様見つけましたわ!!!!!!!」
平和である意味退屈な日常を壊す、事件がまた始まるのだった。
とりあえず、レイの向かいの席を進めておく。
「どうも。」
レイは、その子を見つけたときから、明後日の方向を向いている。
「レイお兄様!!!!!なぜ、こっちを向いてくださらないのですか。」
「レイお兄様はやめてくれ、、、、すいません。レオさん。この馬鹿妹を黙らせに行ってきます。」
「馬鹿妹とは何ですか、、、私には、メイという名前がありますのよ、お兄様。馬鹿兄貴と呼んでもいいんですわよ?」
「うるさい!!!!話が面倒になるからここじゃだめだ。喫茶店行くぞ、喫茶店。」
レイは、メイ?という少女の手を引いて街に行った。
レナ?と呼ばれている少女に、俺たち(マーカスと俺)が呼び出されたのは2週間後のことでした。
「馬鹿兄貴、、じゃなかった、お兄様、、つまりレイ様を連れて都心に来ませんか????旅費はこっちが出しますから。」
「いいぞ。」
「(´・д・`)ヤダ。」
絶対に嫌だ。もっとゆっくりしていきたい。
「お、気が合いますね。レオさん。僕も同じ気持ちですよ。」
「というわけだ。大変に申し訳ないが、メイさん、俺たちは都心にはいかないぜ。あと1年まったら、いけるかもな。」
そして、話を終わらせるためにそこから出ていこうとする。
「何とかお願いしますよ、、、、」
涙をながしはじめる。悪い予感がする。
周りの冒険者たちが集まってきた。
「なんで、泣かせええ???ええ!!!!!!!」
「女の子を泣かせちゃあかんやろ!!!!!!」
「付き合ってやれや!!!!!!!」
男は、女の涙に馬鹿みたいに弱いのだ。旗色が悪いな、逃げよう。
「レイ、あとは頼んだぞ。」
出口に向かおうとする。
「て、離せヨ。」
「自分だけ逃げようたって、そうはいきませんよ。逃がしませんからね。」
男どもが集まってくる。
「お、おい、、。」
行くしかなさそうだ。
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