第14話ドラゴンという生物について
昔々の話です。人間たちは、悪いモンスターたちに住む場所を追われ、安住の地がなくなって転々と生活をしていました。人々はとてもつらい生活を強いられたのです。しかし、あるところに勇者が現れました。勇者は勇敢に戦い、モンスターたちと戦い、一部の領土を取り戻しましたが、モンスターたちに攻められる前とはくらべものになりません。困った勇者は、素知らぬ顔で世界に生きていた長命で強大なドラゴン族に助けを求めました。ドラゴンは、長くて鋭いかぎづめ、どこまでも飛んでいけそうな翼、すべての生物を射抜くようなめ、口から出る様々な光線、そして、どんな鉱物よりも固いうろこを持ちます。ドラゴン族は話を聞くとすぐに協力してくれました。そして、一緒に悪いモンスターをたおしたのです。
ドラゴンは崇拝すべきものだ、として丁寧に扱われていたのだ。約100年前まで。100年前、一体何が起きたのか。俺はもちろん知らない。が、、、、、ドラゴンと人間は戦い、争うようになったのだ。そして、そのドラゴン族が今俺の前に立ちはだかっている。
「なぜなのだ、、、なぜ、、、、、、いいだろう。人間よ。本当に、ドラゴン、ひいてはドラゴン族に戦いを挑むのであれば受けてやろう。まずは、お前たちを焼き尽くす。」
深く、苦悩を感じるような眼で、低く自信を感じるような声で人間を目標と定めて、そのドラゴンは言った。そして、炎を息のように吐きだす。もちろん、前衛のほとんどが立ち上がったドラゴンに揺り落された中で、それから逃れることなどできなかった。残ったのは、せいぜい三分の二ぐらいだろうか。しかも、焼けどをしている者が大半である。圧倒的な戦力差にやっと気づかせられる。
「あれ、こんなに強いなんて書いてなかったんですけど、、、、、そんなまさか。」
だが、そんなことでへこたれる冒険者はいなかった。現在の状況を目と鼻の先で見たはずの前衛は、それでも挫けずいや、狂気的にドラゴンに勇敢に立ち向かっていく。
「あれで、戦意が挫けないのか????????」
少しぐらいは逃げてもいいと思っていたが。
「後衛突撃!!!!!」
そして、後衛の進軍が告げられる。
「なあ、レイ。逃げないか????俺は無駄死にしたくない。」
「奇遇ですね。僕もですよ。マーカスさん、逃げますよ。」
レイが、マーカスの肩に手を置いて、呼ぼうとした、その時であった。
「なあ、君達。」
今現在、おそらく人生で一番気まずい人物の声がした。
「みんなで戦おうとしているのに、何で自分たちだけ逃げようとしているんだ?」
コータスさん、、、この逃亡を止めに来たのだ。その声におびえ、戦う場所へと向かおうとしてしまう。
「レオさん、行っちゃだめですからね。」
レイが手を結んでくれていた。
「君達には、ドラゴン討伐の報酬は渡せないな。」
「もちろん、いらないですよ。コータスさん。この中で、生きて報酬をもらえる人がどれだけいるかわかりませんが。」
「ドラゴン殺しの名誉に比べれば小さいものだよ。犠牲なんて。」
「じゃあ、前衛に行ってくださいよコータスさん。」
「君達みたいのの、尻を叩かなくてはいけないのでね。」
どちらも一歩も引かぬ論戦に俺は圧倒されていた。
「どうしてもというなら、別に帰ってもいいさ。後ろにいる中央衛兵団を突破してから行くんだな。」
「中央憲兵?」
そして、後ろにざっと中央憲兵が現れる。中央憲兵は都市部コーランの防衛を担当している憲兵だ、もちろん通常こんなところに現れるわけがない。
「さあ、どうする?」
後門の中央憲兵。前門のドラゴン。
「ははは、もちろん前に行きますよ、、」
なおも抵抗しようとするレイとマーカスを押して、前進していく。
「今抵抗したら、殺されかねん。ドラゴンのすきを見て、いい感じに逃げるで。」
さて、前線にいかされることになった俺たちは絶望を体験していた。俺たちの体重の3倍もありそうな冒険者たちが足ですりつぶされる。炎で焼かれる。歯で食いちぎられる。一歩も前に動けない。そして、最後の一押しとでもいうように、頼りにしていたS級冒険者の亡骸が足元に転がっていた。
「すいません!!!!!俺のせいでこんな風になっちゃって。」
レイが謝りだした。そうだぞ、お前。反省しろー
「別に、レイのせいじゃないさ。しょうがないよ。」
これは、優しすぎるマーカス。
上記のように、二人ともこの状況をもうあきらめている。
「ちょっとまて、まだドラゴンの後ろに通り抜けられて、脱出出来るかもしれないじゃないか?」
「そうはいっても、通り道にちょうどドラゴンは陣取っているぞ。どうするんだ?」
そ、それは。俺が何とかするさ。
周りには、もう冒険者はいなくなってきた。もちろん、俺たちも加勢した。しかし、スケールが違いすぎるのだ。眼を狙おうとしても足で払われ、柔らかそうなところがほかにない。種族としての差、生物としての才能の違い。何としてもいうことができる。正直、みんな諦めていたのだ。
運命の時は、、きた。マーカスの体をドラゴンの詰めが捉えたのだ。
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