第12話鉄砲の活用法について
「ところで、ちょっと相談したいことがあるんだが、、、鉄砲の可能性についてだよ。」
コナーが身を乗り出す。
「やっぱり、お前もこれに可能性を感じるよな?俺も、これに俺の商人人生をかけてるんだよ!!!!」
まだ商人をして一年もたってないだろうけどな。
「とにかく、この爆発と狙いが定まらないのは何とかしないとな。」
そう、この銃の球は的とは全く見当違いの方向に飛んで行ったのだ。
「一個買い取るから、分解していい?」
「もちろんだ!!!!!ちなみに10万オンスだな!!!!」
た、高い。高い弓が一万オンスだから、其れの10倍か。それは売れないわけだ。
「で、でも威力は弓矢の100倍は優に超えているし、、、」
ふー。これから、どうにかしてこれを改良するのか。
コナーの持ってきていた鉄砲の本は、もちろん文字が読めなかった。
「そもそもこの国、マイネスの言語つまり、マイネス語も俺は読めないってのに。奴隷でマイネス語を読めるだけお前は大したもんだよ。」
「別に、コナーもやる気さえ出せば簡単だよ。読みと文字を対応させているだけだからな。」
「そんなやる気は、なかなかでないだろうな、、、、」
楽なんだけどな、、、
別に、付き合う義理もないのだが鉄砲の改良に手を貸すこととなった俺は、今現在メッカ王国の言語これもメッカ語を読める人を探しに行っていた。隣国だし、意外と簡単に見つかることを期待しておこう。
「鉄砲~。メッカ王国の鉄砲だよ~。」
そして、市場で繁盛している店で鉄砲を売っているところを見つけた。見つけてしまった、というのが正しいだろうか。とりあえず、その店で扱っている鉄砲を見せてもらう。その鉄砲は、まるでコナーの店で売っていたものとそっくりというより、瓜二つのもだった。
「試し打ちをしても?」
「どうぞどうぞ」
的に向かって、引き金を引く。子気味良い音が鳴り響いた。この銃は爆発もしていないし、的にもちゃんと当たっている。
「どうでしょうか?一回一回球を込めるのに、時間がかかるのがデメリットですがそれを踏まえても十分な威力でしょう。」
「買いましょう。」
「5万オンスになります。」
ふー、っとため息をついてその店から出ていった。
市場に出た後、コナーは健気に鉄砲を改良しようとしていた。
「コナー。この店の鉄砲が売れない最大の理由が分かったよ。」
買ってきた鉄砲を投げ出す。
「これが5万で売ってたんだ。」
「もしかして、、、これを売っていたのは太り気味の禿げた声が大きい店主か?????」
それを言ったとたん、コナーは食いついてくる。
「うん。そうだったけど。」
顔が一気に青ざめる。そして、がっくりと肩を落とした。
「騙された。俺に、それを6万で売ったのもその親父マイネス国で売れば安いなんて、そんないい話ないと思ったんだ。うう、、、ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ。」
あちゃ~。
なかなかに気まずくて暗い雰囲気が、あたりを漂う。しかも、あっちの鉄砲は爆発しなかったからな。不良品を押し付けられもした、と。そして、落ち込んだ様子で、店を出ていった。君の店なんだけどな、、
そして、しばらくしてから帰ってくる。分厚い本を持って。あれは、、、辞書か。しかも、メッカ語の。
「その鉄砲の本、俺によこしてくれ。」
手に持っていたものを、ぽーんと、投げる。それを両手でキャッチした後、彼は血眼で、必死にそれと照合して、鉄砲の本を読み始めた。もちろん、口をはさむ気はしなかったし、できなかった。自分は横で、鉄砲の分解をしている。
「ご飯買ってくる。」
返事はない。とりあえず、一人にさせておいた方がよい。
「読めた!!!!ついに読めたぞ!!!!!」
それは10日の徹夜後のことだった。ほんとに、ドラゴン討伐の日程余裕もたせておいてよかったよ。後7日はあるし。そのあと、1日を全部使っての爆睡。それから、がばっとコナーは跳ね起きる。間髪入れずに、鉄砲の改良に取り組んだ。
「ここがこうなって、、、ああ。ここが故障しているのか、、、、じゃあ、、、ここを直せば、、、え、まず、、」
こんな流れでぼかーん、と鉄砲が爆発することの方が多かったが。しかしやっと、不良品の鉄砲を修理することに成功する。が、
「なあ、もういいんじゃないか?もう修理はすんだだろう?もう、このままで売ればいいじゃないか?」
「だめだ。このままだと、ただのアイツの商品の劣化になっちゃうじゃないか。それじゃだめなんだ。アイツの商品を超えたい。」
そういって、ガンとして聞かなかった。
ドラゴン討伐当日の朝、俺はグーっと背伸びをして慣れ親しんだ店と店主に別れを告げようとしていた。外からよく見れば「コナー商店」という名の看板が輝いている。今も寝ている店主には、少しだけ挨拶をしていくことにした。いつか、鉄砲がもっと高性能になったら、またこよう。
「またな、コナー。どうせまた会えるさ。」
「ちょ、ちょっと待て。」
寝ぼけ眼の店主が目をこすって、慌てて出てきた。起こしてしまったか。
「これを持ってけ。」
その手に持っていたのは鉄砲だった。だが、少し改良がされているのか以前よりも、筒が太くなっている。
「これは?」
「改良版鉄砲。コナー版鉄砲と呼んでくれてもいいぞ。球を一発ずつ入れる必要がない。一発から二発に増えただけだが。」
!!!!え、、鉄砲の球を一発ずつ入れないといけないというデメリットを克服したのか。凄いな。
「ああ、もらっていくよ。何オンスだ?」
「まあ、軽く100万オンスぐらい、、、。」
100万かまあ妥当だろう。
「ちょ、マジで取り出そうとすんなよ。そんなに持ってるのが驚きだが。お代はいらないよ。お前がいなかったら、俺は今もコロシアムで犬死だっただろうからな。」
ここで、お金をどうしても払おうとしたら無粋だろう。
「ありがとう。」
ずっしりと思い、製作者の汗と涙のしみ込んだ銃をもって俺はドラゴン討伐へと向かうのだった。
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