帰りを待つ者

第26話:大切な人たち

「サリーおかえり〜」


 いつものように、ノアールと食堂へ戻るサリー。彼女はヘトヘトになっている。


 アズールが調理場から出てきた。



「アズール会いたかったよ!! 町……大変だったんだからね」



 アズールに抱きつくサリー。ノアールはそんな一人と一匹の様子を見てにっこりしていた。



「本当にお疲れ様〜」


「今日は光の蜘蛛を召喚したんだ……」



「おっ、ナミエルさんか〜僕も会いたかったな〜」



「ーーーーーーーー」



「ん?? サリー今なんていった?? 全然聞こえなかっ……寝たんだね」



 サリーは安心したのか、疲れ切っていたのか、アズールに抱きついたまま眠ってしまった。



「本当にお嬢さんのおかげで助かりました。不思議なお方ですねぇ……影に向かって走っていくんですから」



「よくあるんだよ…勢いで突っ込んでいくことが…たまに心配になっちゃうんだけどさ〜」



 アズールはスヤスヤ眠るサリーを見ながら呟いた。


 サリーが眠ってしまってから数分が経った頃、カターシャが町から戻ってきた。


「なんだお前らまだいたのか……」


「カターシャ……サリー重いから連れてってほしい〜」


「俺が??」


「そうだよ!! カターシャ王子様なんでしょ??」


 アズールとノアールは二人で目を合わせ、ニヤッとしている。


「お前らこういう時だけ王子様呼ばわりするんだからな……」


「いいから早く早く〜僕しばらく部屋帰らないから!!」


 カターシャは仕方なくサリーをお姫様抱っこして部屋まで連れて行った。


 サリーとカターシャがいなくなった食堂では。ノアールが何やら言いたげな顔をしていた。


「ーーーーーーーーアズール殿?? この後我々の事務所でスイカを召し上がりませんか??」


「本当!! 僕スイカ大好きなんだよね……ってノアールさん。次は何を知りたいの??」


「ああ、私としたことが……失礼いたしました。先ほどちらっと聞いたんですが、アズール殿は昔魔法使いに仕えていたんだとか。ですので、我々の研究のため魔法使いについて詳しく教えていただきたいのです……光の蜘蛛の生体について気になることもありますしねぇ」


「仕方ないな……今日だけだよ!! あっ、僕スイカに惹かれるわけじゃないからね!!」


 アズールは仕方ないと言いながらも、モフモフの尻尾を揺らしながら事務所へ向かった。

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