第7話:始まりの朝
砂漠の朝日と共に目が覚めた。
「アズールおはよう。よく眠れた??」
グルグルグルと喉を鳴らすトラに私は抱きついた。
「んーーーー落ち着く、モフモフなアズールちゃん」
(あれ、私昨日の夜はカターシャと話をしていて……どうやってアズールのところに来たっけ?? この麻のブランケットはジンさんがかけてくれたのかな)
「おい、サリー早く準備しろ、暑くなる前に出るぞ」
昨日の夜話をしたおかげてサリーとカターシャは意気投合していた。
「はーい」
「おはようございます、サリー様。よく眠れましたか??」
ジンさんがまぶしい。これは太陽じゃなくて、ジンさんの輝きなのか…………
「よく眠れました!! このブランケットはジンさんがしてくださったのですか?? ありがとうございました」
そういってサリーにかかっていたブランケットをジンに渡そうとする。
「いえ、これはカターシャ様のですよ」
「えっ?? あ、ありがとう」
「おう」
(ということは、私を運んでくれたのも彼?? 恥ずかしい、恥ずかしすぎる……)
なんだか気まずい私とカターシャだったが、隣ではくすくす笑うジンさんが。
準備ができたところでサリーたちは町へ向かう。その途中、砂漠にある食堂で食事を済まし、サリーたちは砂漠を歩き続けた。二人はすっかり仲良くなっている。
「カターシャ、砂漠で迷わない方法ある??」
「うーん、そうだな。空を見ること。あとは、直感だ!!」
自信満々に話すカターシャをサリーは疑いの目で見ていた。
「やっぱりカターシャって怪しいよね??」
「はあ?? 本当の事を言っているんだが。なあ、ジン」
「えぇそうですよ。サリーさん。砂漠を歩くには直感も大切なんです。自分を信じる心が何よりも……」
後ろからジンがサリーに伝えていた。
砂漠を歩き続けてどのくらい時が経っただろうか。
カターシャが住む町に着く頃には夕日が見えてきていた。
「サリー、あれ見てみろよ」
「…………なんて綺麗なの」
ジンはサリーとカターシャの後ろ姿を見ながら独り言を呟いた。
「これだけ綺麗な夕日は見たことがない……うむ。幸先がいい……」
空には夕日が。今までに見たことのない、ピンクがかった綺麗な色をしていた。
サリーが見つめる夕日の元には広い海と、町へ続く大きな門が見えてきた。
「えっ?? あの町??」
大きな門が見える。遠くからだがはっきりと。門の中には大通り、夕方というのに沢山の人で行き交う町が広がっており、ずーっと行ったその先にはお城が見えた。
(砂漠の中にこんな大きな町があるなんて知らなかった)
「どうした。サリー行くぞ」
「えっ、うん」
この先で不思議な出来事が待っているだなんて、今のサリーには想像もできなかった。
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