第32話 魔力

この世界に❪お香❫という呼び名は無く、匂い系は❪ランプ❫もしくは❪香炉❫だった!!!!!


そして、お香は異世界言語だったらしく、皆には、❪お子❫の発音で聞こえていたらしい!!!!


そもそも、召喚時の魔法なのか、神の力なのか(詳しく聞いてない)、自動翻訳されていた事も最近、忘れていたわ!!!はぁっ……………


◇◇◇


おれはその後、リンゴちゃんの事が諦めきれなくて、現代知識の中に何か助ける手段がないか、検索をフル稼働させて情報を探した。


もし、暗黒竜が病原体と過程するなら、ワクチン効果を期待できる。

抗体を強化できればいいのだ。

だが、それは発病前の話しだ。


リンゴちゃんは発病してしまっている。

ほかの方法を探す必要がある。


治療薬に有効なのは、抗体○クテル療法か。

◆2種類の抗体(特定の異物にある抗原(目印)に特異的に結合して、生体内からの異物の除去を促す分子)を混ぜ合わせた医薬品。


なら、異物の特定と除去だ。

だが、異物とはなんだ?

わからん。


悩んでいると、ふと、気になる事を思いだした。

あのリンゴちゃんのヒトデのようなシミに触ったとき、何故か親近感を感じていた。

リンゴちゃんに対してのものかと思ったが、いま思うとあの黒いシミに対してのものだった気がする。


魔力はおれの世界に無いもの、それがおれに有るということは?


あの暗黒竜の血か?!あれが魔力の元か!!

なら、あの黒いシミも暗黒竜の魔力の可能性がある。


異物が魔力なら、それを取り除く方法は?

おれは、神の残滓の最期の言葉を思い出していた。


(また食い物とは、呆れる。使い方は分かったな、種とビスケット、検索はお前の魔力を元にスマホを通して具現化される。我がお前に残してやれる仕組みだ)


種とビスケットか!ビスケットで魔力ごとリンゴちゃんから抜き取る?!

出来るかどうか、そもそもスマホを神の残滓が残した機能以外で操作出来るかが鍵だ。

おれは、直ぐ様リンゴちゃんのところに向かった。



「?!!モモ!」、「勇者モモ様!!」、「精霊モモどの!」


ちっ!、強姦魔1号、2号、3号がいやがった!邪魔だ!


「……………………」、タッ、タッ、タッ、タッ、タッ、おれは、無言で三人の前を早歩きで通り抜ける。

そのまま、リンゴちゃんの部屋へ。

やつらは、何か言いながらついてくるが聞いてやらない!


「待ってくれ!すまなかった。まさか、勘違いとは」、「勇者モモ様、聞いて下さい。どうか」、「精霊モモどの、気がつかなくてす」


「…………………」

バタンッ、ガチャ


「「「!!」」」


◇◇◇


ふぅ~っ、おれは、ため息をつきながら背中ごしにドアを閉め、鍵をかけた。

「………………」


当分、あいつらの顔は


あの日、勘違いだから、間違いだからと何度も懇願して言った。

最後は涙を流しながら懇願したのに、あいつら、あの後なんて言ったとおもう?


演技だと思っただと?!ふざけるな!

しかも三人がかりでやりやがって、気がついたら3日目の朝だったんだ!

その後、おれは後遺症で七日もベッドから出れなかったんだぞ!

おれは一生、あいつらの事は許してやらないからな!


「こほっ、モモお姉さまですか?」

「モモか?」


「!あ、ああ、おれだよ」


奥には、ベッドから出れなくなった目の下に隈が見え始めたリンゴちゃんと、メリダさんがいた。


おれは、ふらっと腰を庇いながらメリダさんの隣に座った。

メリダさんは、すでに粗削りだがちゃんと走れる車椅子に乗っていた。


「こたびは、私共の勘違いによってモモお姉さまがベルンお兄様と、不本意な結ばれ方をし大きな傷を負った事、まことに申し訳ありません。こほっ」


「すまなかったモモ、香炉とお子を勘違いしていると気づけなかった私共を、弟を許してやってほしい」


二人は、深々と頭を下げた。


「いや、二人は関係ないですよ。翻訳魔法状態を忘れていたおれの自業自得だし、気にしないでください」


「だが、弟をまだ許してないと聞いたが?その、なんと言ったらいいか、だ」


おれは、メリダさんを手で制した。


「その話しはもう、止めましょう。その事は、話したくないので。それより」


おれは、スマホを取り出し二人に渡した。


「それを、リンゴちゃんの胸の上に置いてみてもらえませんか?試してみたい事があって」


「この小さい箱?をか?、いや、わかった。リンゴ姫、これを」


「はい、わかりました。ええっと、こ、これでよろしいですか?」


リンゴちゃんは、ごそごそと仰向けになって、スマホを胸の上に置いた。


「しばらく、そのままでいてくれる?」


「はい、分かりましたわ」


おれは、スマホに手を翳して魔力の流れをかんじられるように強く意識して、やってみた。

すると、おれの手とスマホの間に目には見えないが、なんか空気の流れの様なものを感じる。

流れはなんとなくだが、おれからスマホに流れていた。


それを意識して、こんどはおれが魔力ををイメージする。

やっているうちに、なんとなくコツを掴んで意識を集中する。


ズズッ


捕まえた!?これだ!、これを吸い取るイメージで、ぐっ、かなりキツイ?!

絶えず意識を集中してないと、流れがすぐ逆転する。


「っ、モモお姉さま!?な、なんか胸が引っ張られる感じで、き、気持ち悪いです?!」


「リンゴちゃん、もうちょい、辛抱して!頑張って」


「は、はい!」


リンゴちゃんは、苦悶の表情で我慢する。

おれは、意識が途切れそうになるのを、冷や汗をかきながら必死に耐える。


「二人とも?!だ、大丈夫なのか?」


メリダさんがおろおろして言ったが、返事する余裕がないおれは、無言で続けた。


「あ、あああああーっ?!!」

「うがぎぎぎぎぃーっ!!!」


「リンゴ!、モモ!、おい?!!」


リンゴちゃんがえび反り、おれが後ろに卒倒しそこで、おれの意識は途絶えた。

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