第11話 勇者の尋問①
俺は気絶した少年の口に、服を千切った布を突っ込み、四肢の関節を踏みつけ砕いた。
「ン゛ーーーッ!!!」
コイツがどんな能力を持っているか不明だし、魔法を使われても面倒だ。とりあえず動けないようにする為に、手足を砕くことにした。革の
激痛で覚醒した少年だったが、最後の関節を踏みつける頃には白目を剥き、失禁しながら再び意識を失っていた。ショック死しそうだが、まあ死んだら死んだで仕方ない。情報は欲しいが手加減して逃げられるよりはいい。コイツの能力も未知数だしな。
魔法で水を生み出し、頭から浴びせて意識を覚醒させる。
「ぶはっ! げほっげほげほげほ…… おえっ……」
咽せながら意識が戻った少年に、
「今から聞く質問に答えろ。答えなければ殺すし、嘘をついても殺す」
「ッ!」
…
水を被り、意識を覚醒した少年、
目の前に短剣を突きつけている男がいる。フードで顔が良く分からないが、男の声だ。身体が激痛で動かない。自分の体を見ると、両肘と両膝は腫れ上がり、妙な角度に曲がっている。ズキズキと痛みが酷く、まともに思考ができない。
「言葉が分からないのか? 答えないならコイツらのようになるぞ?」
男に言われて隣を見ると、頭の無い二つの死体が並んでいた。
「ひっ!」
クラスメイトの
こいつ誰だ? いつの間にここに居るんだ?
「だ、誰?」
「質問するのはお前じゃない。俺が質問してお前が答える、答えなければ死ぬだけだ」
「……」
「お前は召喚された三十二名の内の一人だな?」
「なっ!」
「聞きたいのは他の二十九人の能力だ。全員の能力を答えろ」
「な、何言ってんだ?」
ズッ
男の短剣が腹に刺さる。
「あ゛っ!」
「質問に答えなければこのまま腹を裂いていく」
ググッと短剣に力が入るのが伝わり、白いシャツが見る見る血で染まっていく。
「わ、わがっだ、言う! 言うがらやめでっ! やめで下ざいっ!」
体験したことのない痛みと恐怖で、高橋健斗は一瞬で心が折れた。
…
泣きながら少年が叫ぶ。
尋問どころか拷問になってしまったが、どうせ最後には殺すから気にしない。優しく聞いて嘘や誤魔化しをされて時間を無駄にもしたくない。
拷問に耐えられる人間は殆どいない。無論、拷問する側の技量や目的にも因るが、耐え続けることは難しい。軍事訓練でも拷問に対する訓練がある。苦痛を緩和したり、生存率を上げる為の技術や話術を学ぶが、最終的には耐えられない、そう教えられる。確実に助けが来ると分かっていたり、絶対に自分が殺されないと分かっていれば耐えられる場合もあるが、基本的には無理だ。訓練を受けた人間でさえ無理なのだから、普通の高校生なら尚更だろう。しかし、狂信者と呼ばれる人間や薬物中毒者、精神異常者に関してはその限りではない。
(腹を少し刺されたぐらいで泣き叫ぶとは。まあ普通の高校生なら当たり前か)
「質問に答えれば抜いてやるし、全員の能力を言えば、治療して解放してやる」
勿論ウソだが、希望を与えるのも尋問や拷問のコツだ。
「ぜ、全員は知らない! 自分から話す奴とか、能力が目立つ奴以外は、みんな自分の能力を隠してるんだ!」
「なら知ってる奴から教えろ」
(高校生とはいえ、危機意識が高い奴もいるようだ。コイツを基準に、他の奴も同じと考えるのは危険だな……)
少年は、思い出すように知っているクラスメイトの能力を話しはじめた。
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